レイラ、驚く
誰にも負けたくない。ただそれだけ。
自分の事は自分が一番わかってる。
勉強でも、こんな田舎の学校で、1,2,3番の争いをして。
空手もそこそこ、英会話もそこそこ、ダンスも、バスケも、何もかもそこそこ。
何も誇れるものなどないけど、常に自分を守るため、誰に対しても上から目線。
周りからも嫌われていることは、わかっている。
でも、嫌いなんて言わせない。
他人なんて興味がない。なかった、あの佐藤 遥と北村 音音の戦いを観るまでは。
TV放送での佐藤は、常に北村へ負けることを意識していた。
自分にはわかる。
そして迫る死をわかっていながらも、なぜあれほどまでに輝けたのだろうか?
「音音ちゃん、勝負よっ!!」と北村へ向かっていった最後の瞬間に見せた笑顔。
あの笑顔が頭から離れない。
あのTV放送で、首都戦で死ぬことがあると認知されてからというもの。
嫌われ者の私に対する陰口は、”首都戦で死ね”ただそれだけになった。
言われなくてもわかってる。
死ぬことぐらい。
だけど、戦いたい。
北村 音音と。
佐藤のように美しく散らして欲しい。
”おい、清水、ふざけんなよ? お前が死んだら、俺まで死ぬんだ”
”もう、勝手に覗かないでよ”
”あのな、練習を真剣にやれよっ!”
”お前だって、そこそこ強いんだ”
そこそこ、また、そこそこ…。
”あっ、悪い…お前の嫌いな言葉だったな。でも、俺は北村にさえ勝てると思ってるぞ”
”えっ!?”
”何を驚く? お前の実力でもやばいのは、2,3人しかいないぞ? 富山代表をなめんなよ”




