遥、無知を恥じる
泣き止んだ私にピタリと体を寄せる音音ちゃん。
暖かくて安心する。
「今日さ、泊まってくれる?」
「うん。そうしたいと思ってたの、でも言い出せなくて」
素直で明るい音音ちゃんも、心に痛みを抱えているのはリンクしなくてもわかった。
一緒にお風呂に入り、私のパジャマを着て、一緒に寝る。
布団の中で、寝落ちするまで、会話することを約束する。
「初めて着るとき、男子が私の裸、ガン見するんだもん。あれ野生に戻ってたよ目が」と生々しいことを話しだした音音ちゃん。
「私の時は…恥ずかしそうに目を背けていたかな?」
「初めて男子着たとき時は、すごい気持ちよかったわ、あれ忘れられないよ」音音ちゃんが荒ぶってきた。
「うんうん、でも男子の方が、感じるのかな?」
「どうだろうね? 今度、着たとき記憶を探ってみようっと」
「可愛そうだよ。やめてあげて」と私は笑ってしまう。
「いや、絶対探る」
音音ちゃんは私の手をぎゅっと握った。
「遥って、処女?」
えっ!?と驚く「それは、そうよ…」と回答する。
「だよね、首都戦なんて出るなら、一度はしてみたかったよね。監視されてなければなぁ」
「監視?」
それから音音は、小さい頃からの思い出を語ってくれた、それは戦勝国の監視下にいるという感覚がない自分にはショックな話ばかりであった。
「何も知らなかったわ…恥ずかしい」
「そんなことないわ。それだけ幸せだってことよ。お父さんとお母さん、出会ったみんなに感謝しないと駄目よ」
「うん…」
音音から見れば、何もわかっていないのはバレバレだろう、恥ずかしく頷くことしか出来なかった。
「遥。私、全力で戦うわよ? 遥の腕や足が無くなっちゃうとしても…」
音音は泣きながら言った。
「うん、私も…音音ちゃんを殺すつもりで…」
二人はパジャマを脱ぎ、生まれた姿で朝まで抱き合った。
今度の土曜日、二人の青春が、命が、散るまで戦うことになる…。




