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首都戦記、小6女子の夏の陣  作者: きっと小春
群馬県・決勝
15/45

静香ママ、祈る

手巻き寿司を楽しそうに作る音音ちゃん。


「そうだ、ご両親に連絡しないとね」と電話することを促す。


音音は口いっぱいに手巻き寿司を頬張って、もぐもぐしている。


食べ終わるまで待ってあげると「私、一人暮らしなんです」と答えた。


何とも聞いてはいけない質問をしてしまったなと反省する。


「気にしないでください。慣れてます。両親は反逆罪で死刑になりました。当然です国へ逆らったんですから」とあっけらかんと話す。


「反逆罪?」と遥が聞き直す。この馬鹿、そこは流すところよ…。


「うん、悪い人なのうちのパパ、ママは…あっ、この話やめやめ、ご飯が美味しくなくなるし」


空気を変えるように逆に質問してくる。良い子だな音音ちゃん、空気読めるな。


「遥ちゃん、一人っ子?」


「うん。音音ちゃんは?」


「弟がいるの多分ね」


「そうか、弟いいなぁ」


うちの娘は天然なのか…。


「そうだ、何で私に会いに来たの?」


ど真ん中ストレートな質問とか…。


もぐもぐ、「うん? 地区大会の対戦相手ね。今まで弱かったからさ、傷付けずに倒せてたんだよね。でも、遥ちゃんの準決勝見てさ、こりゃ、無理だと思って」


「無理?」


「うん、どちらか死んじゃうかもしれないって思ったら、会いたくなったの」もぐもぐ。


お父さん、動きが止まってますよ…。


「そうかな〜?」


「そうだよ、だって遥ちゃんの対戦相手ね、死んじゃったもん」


「えっ!? 嘘…」


「嘘じゃないよ、今、この情報がリークしてて、大会本部の人たち大変らしいよ」


「嘘…だよね…」


「殺しちゃったことは気にしなくてもいいんだよ? そういう大会だもん。ちなみに死因は首ぽっきりだって」


うっ…うわぁぁぁん。と泣き出す娘に音音ちゃんは、ぎゅっと抱きしめる。


「だから、ちゃんとお話ししたいんだ。どちらが勝っても負けても、戦った相手のこと覚えていて欲しくてさ。特に、私ひとりじゃない? 死んじゃっても誰も覚えていてくれないから」


娘達が置かれた立場、現実を思い知らされる。


どうか無事に大会が終わりますように。

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