大山監督、勘ぐる
前橋代表の女の子が亡くなったという情報がリークされた。
偶然にもその情報をキャッチしてしまう。
いろいろな意味で不味い、戦勝国直轄の公安に尋問いや拷問を受ける可能性がある。
また対戦してきた相手を殺してしまったのは今回が初だ。
遥が知ってしまったら…。
人一人を殺したことを乗り越えられないだろう。
だが、そんな事より、何がなんでも勝たなければならない。
リークされた情報の中には、負けたチームに関する情報もあった。
亡くなった女の子の家族や監督、そのフォームとして参戦していた男の子たちの家族まで、一切連絡が取れない状態だという。
保護という立場で物を言ってくる国だが、本当のところはどうなっているのか。
恐らく、全員処分されているんだろう。
負けイコール処刑なんて聞いてないわ。
私は気持ちを切り替え、次の対戦相手の資料を読む。
対戦相手は高崎市代表。毎回、地区大会で優勝している市である。
登録されているフォームは、水泳、サッカー、剣道、科学部だ。
監督の経験が浅い私には、この組み合わせが、いかなるパフォーマンスを出すのかはわからない。
対するこちらは、柔道、野球、陸上の3つで、最後の1つも決まっていない状況だ。
柔道の山本くんは鉄板として、野球の久保島とは経験もリンク率も低い。
さらに陸上部・走り高跳び選手の森田くんは初心者と変わらないレベルである。
この二人のリンク率の上昇が勝利への鍵になると考える。
課題が山積みだ。
首都戦・戦略ルールに入室すると、陸上部・走り高跳び選手の森田くんだけしかいない。
「他の3名はどうしたのかしら?」
「久保島は通院予定なので帰りました」
「山本くんと佐藤さんは、まだ来ていません」
次の決勝まで、6日もないのにと、苛立つ。
時間を無駄にしても仕方がない。
「森田くん、戦う場合にどんなことができるか、一緒に考えてみましょう」




