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首都戦記、小6女子の夏の陣  作者: きっと小春
群馬県・決勝
12/45

山本くん、戸惑う

放課後、首都戦・戦略ルールに行かずに、教室の席でぼーっとしていた。


本当はもっと浮かれていても良いはずなんだよな。


地方大会の群馬県・準決勝(第一試合)は、TVで全国放送されていた。


勝った翌日、つまり今日なんだけど。通学の途中、ご近所さんには褒めまくられて、学校に来てもヒーローだった。


佐藤さんに知られなかったら…。


佐藤さんに知られたくなかったことだってある。


今まで、女の子に陰口を言われて泣いてしまったこと、毎日一人エッチしてしまい許可回数を超えて警察沙汰になったこと、先輩に命令されて万引きしたことなど、散々恥ずかしい出来事を共有してきたのにだ。


でも、この3つは知られたくなかった。


1つ目は、俺は佐藤さんが好きだということ。


本当だけど、今、知られたくなかった。


もっと活躍して、もっと男らしく、もっと…。そしたら…。


2つ目は、俺のアイデンティティーである柔道に限界を感じていることがバレたこと。


佐藤さんは、俺の柔道を信じて、俺の柔道なら、誰にでも勝てると思っていると思う。


それが…俺自身が、信用してないことがわかったら、佐藤さん、どう思うだろうか?


首都戦に誘われるまで、自分の限界を知り自殺まで考えてたこともバレただろう。


3つ目は、好きな女の人が複数いることだ。


一人目は勿論、佐藤さん。


二人目は、隣の席の岩下。可愛くもないし、男子から人気もない、でも一緒にいると安心する。


三人目は、平良さん。笑顔が可愛くて、いつも元気。仕草も可愛いくまるで天使。


優柔不断な俺。


嫌われても、佐藤さんとの関係は、首都戦が終わるまで続くと思うけど、例えば、岩下へ告白したとしても、三人も好きだったのに…とか、誰でも良かったんだねとか、思われるのが嫌だ。


まぁ告白したところで、交際の許可の申請が、国から却下されたら意味ないんだけどな…。


椅子の背もたれに天井が見えるまで深く寄りかかり、ため息混じりで、目を瞑る。


情けないな俺。


悔し涙がこぼれ落ちる。


だけど、何をどうして良いのか、さっぱりわからない。


そのとき、そっと俺の手に、誰かの手が重なる。


誰か? 考えなくても感じるよ、佐藤さんだろ?


「本来、知り得ないことでも、知ってしまう、知られてしまう。そう恐怖と絶望だよね。どうしたら良いかなんて、誰も雛形的な答えなど持っていない、だって、こんなこと普通じゃ起こらないもん。だけど、私は山本くんのために考えた答えがあるの。それは自然の赴くままによ」


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