表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
木漏れ日  作者: 雨世界
19/20

19

 二十八歳になった牧野文は新宿駅から電車に乗って、大宮駅で乗り換えをして、北関東にある街を訪ねた。

 季節は冬で、その日は今にも雪が降り出しそうな天気の日だった。


 文は懐かしい思い出とともに、街を歩いて、その街で暮らしているはずの、本当なら文と同じように二十八歳になっているはずの、十六歳でその思い出が止まってしまったままでいる、一人の少女の姿を思い出していた。

 文は小さな公園と、古びた共立高校を見て、それから小さな動物の隠れ家のようなレストランで食事をして、そして、一軒の今は空き家となっている古い家を訪れた。それは赤い屋根の家だった。

 文はその固く玄関の閉ざされた家の前で、少しだけ立ち止まってから、暗い灰色の空を見上げて、そして、また再び一人で歩き出して、最寄りの駅まで移動した。

 そして随分と時間を待ってから、やってきた大宮行きの電車に乗った。


 北関東の街から大宮まで、電車で移動している間、文が電車の窓から見る冬の空からは雪が降ってきた。

 今年の初雪だった。

 その雪の降る景色を見ながら、文はいつものように、その電車の席の上で泣いた。

 初めから、自分が泣くことがわかっていたから、電車はゆっくりと泣けるように、席の決まっている特急列車の切符を買っておいた。

 そうしておいてよかったと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ