12
二人は雨の中をアスファルトの道路の上を歩いて、まずは加奈の通っている男女共立の公立高校に向かった。
その途中にある公園のところで、「ここが私がよく寄り道する公園なんだ」と加奈は言った。
二人はその公園の中をぐるっと一周、歩いてから、公園を出て、学校に向かった。
「文ちゃんは髪、伸ばさないの?」加奈が言う。
さっきからちらちらと気づかれないように加奈の綺麗な黒髪を見ていたことが、どうやら加奈にはばれていたようだった。
「うん。まあ、機会があれば」文は言う。
文はその髪を短い三つ編みにして頭の両方から下げていた。その三つ編みを解いても文の髪は肩口くらいまでの長さしかない。
反面、加奈の髪は背中が隠れるくらいに長かった。
文は、ずっと加奈に聞いてみたいことがあった。
それは、『なぜ加奈が手紙を文に返してくれなくなったのか?』 ということだった。もちろん、いろんな理由があるのだろうとは思った。でも、加奈は久しぶりに再開された二人の手紙の交換の内容の中でも、その明確な理由を書いてはくれなかった。その理由を意図的に秘密にしているような雰囲気が、その文章から見て取れた。
文はその理由がどうしても知りたかった。
でも、文はもしかしたら、加奈はその理由を自分の口から、文に実際にあったときに話そうと思っているのかもしれないと考えて、そのことについて、手紙で深く追求したり、聞いたりすることはしないでおくことにした。
でも、実際にこうして会っても、加奈はその理由を文になかなか話してはくれなかった。




