再び
恋。
それは私が長い間、忘れていた感情。
響也さんを見るだけで胸がドキドキする。
でも私は自分の中でこの感情を認めたような、認めていないような曖昧な状態だった。
なぜなら、500年もの間、忘れ、さらに人間が嫌いだった私にとってにわか信じ難い出来事だからだ。本当に恋なのか、それともただの親近感なのか。どちらにせよ、彼に惹かれている自分がいる事は事実。彼の事について、もっと知りたいとも思っている。
この気持ちを探るために、私は彼に再び連絡をした。
「こんにちは。この間はお見苦しい姿を見せてしまい、申し訳ないです。個人的な事ですが、あの絵に凄く色々な感情が湧いてしまい、涙が止まりませんでした。素晴らしい才能だと思います。もっとあなたの絵がみたいとそう思わせて頂けるような作品でした。」
実に当たり障りがなく、且つ相手に好印象を与えるメールだ。まあ、すみれさんの教えなのだが、、
2時間後、彼からメールが返ってきた。
「こんにちは。いえいえ、私としては画家冥利に尽きる事なので、むしろ嬉しかったです。お褒め頂きありがとうございます。
それと絵なんですが、良ければ見て頂けませんか?あれから、何枚か描いたのですが、正直あの時のような手応えはなくて、、、」
すみれさんの作戦通りに彼は誘ってくれた。絵を見たいのは事実だし、何より彼に会いたかったので、私はこの誘いを快諾。
後日、またあのファミレスで待ち合わせし、彼の自宅で彼の絵を見せてもらう事になった。
「やるじゃん。ちゃんと私の言う通りになったね。」
してやったり顔をしながら、すみれさんが言う。
「本当に頭が上がらないですね。流石です。」
「へへ〜ん。まあね〜。
んでさ、あいつに何聞くとか決めてんの?」
そういえば、肝心な事を忘れていた。彼に何を聞くか全く考えていなかった。と言っても、色々聞きたい事がありすぎて、どれから聞けばいいのか分からないのだが、、
「その顔は決めてないな〜?まあまだ何も知らないから、何聞くって言ってもわかんないか。とりあえず流れに任せて、聞きたい事を聞きな。もちろん、主導権を握って、あわよくば交際だ!」
ニヤニヤしながらすみれさんは言う。
「いやいや、早いですって。正直、まだそこまで踏み込もうなんて考えてないですし、それに今は彼の生い立ちが1番気になるかな〜。」
「なるほどねぇ〜。そういえば、私も聞いた事ないな。」
やはり、彼は自分の事を他人にあまり話していないようだ。人の心に自然と入り込む事ができるすみれさんですら、侵入を許していない。
私が入り込み、質問できる隙があるのか少し不安になった。




