~完~
カーテンの中から、朝日が差し込み、私はそっと目を覚ました。彼の腕の中はとても心地がいい。彼の温もりが私の冷えた心を暖めてくれているのがわかる。
彼に全てを伝え、彼はそれをこぼれないように受け止めてくれた。そして、ゆっくりと2人は結ばれ、一瞬、一瞬を2人の体に刻み付けるように抱き合った。このままこの時がずっと続けばいいのにと何度も願った。しかし、世界は回り続け、新しい朝が訪れる。その理からは誰も抜け出せないのである。私はそっと体を起こし、しばらく何も考えずにぼーっとしていた。すると、徐々に身体の力が抜けていくのが分かった。死期が近づいている。しかし、不思議と焦りや恐怖感はなく、ただひたすらその時を待つようにしようとしていた。
やがて、彼も目を覚まし、涙を浮かべながら、言葉を交わし、またねと別れを告げる。
そして、死神が私の前に現れ、私は眠りに落ちるように倒れた。
私は死んだ。
幽体となった私は皆へ挨拶を行き、私を見る事が出来ない響也さんには夢の中で語りかけた。
死んだ私なんか気にせず、人生を楽しんで欲しい事。これからも絵を描き続けて欲しいという事を伝えた。響也さんはそれをやり続けると誓い、その後、私は天に召された。
後に彼は絵を描き続け、巨匠と呼ばれるまでになり、一人の女性と出会い、結婚し、暖かい家庭を築き、幸せを掴みとった。
その女性はまるで蘭の生まれ変わりのような存在であったという。




