吐露
彼が私の手を握った時、彼は全て分かっているかのように感じた。私があなたを好きな事。そして私は人には言えない大きな秘密がある事を。全てをはっきりさせるために、私は聞かなければならない。
「私、あなたの絵が、、、そして、それを見た時、あなたが好きになりました。理由は分かりません。とにかく全てを包み込むようなあなたのその人となりが、凄く魅力的に感じました。」
これを言い終えた時、彼は少し微笑んでいた。
「ありがとうございます。そんな風に思って頂けてるなんて。今まで僕は変わり者としか認識されなくて、女性には縁がなかった。だから、凄く嬉しいです。誰かに必要とされ、愛されるというものの感覚はやはり素晴らしい。」
「でも私を好きになる必要はありません。」
彼は不思議そうな表情を浮かべ、私を見る。
「確かに僕はまだそのような認識はしてなかったですけど、意識はしてたんですよ。なんせ面識もなかったのに、絵を褒め、泣き、そして気に入ってくれていた。その後も絵を待ってくれた。心の底から嬉しかった事は確かです。もちろん今も。絵から僕を好きになってくれたというのが、凄く嬉しいんです。これは素直な気持ちです。」
この言葉でかなり舞い上がっている自分がいたが、抑えて、本題に入る。
「私は普通じゃない。あなた方のような人間とは違った生き物なんですよ。」
「どういう意味ですか?」
「私は人間と妖の狭間の存在。500年、老けず、死なず、ずっと生き続けてきた。いわば、はぐれ者なんですよ。」
彼はかなり困惑していた。それと同時にその現実を受け止めきれず、処理しきれていなかった。
「え、な、何の冗談ですか?はは。や、やめてくださいよ。」
「冗談ではないです。会って数回の女に突然、告白され、さらに非現実的な事を言われて、信じろと言う方が難しいのは、よく理解しています。でも、事実なんです。そして、私はもうすぐ死ななければならない。」
みるみる彼の顔から血の気が引き、冷静になろうと尽力している様子だった。
「な、何がなんだか、、、。え、どういう事、、え、、?」
ここから、あらすじを全て打ち明けていく。
そして、理解が追いつくまでとことん説明を重ね、気づけば相当な時間が過ぎていた。
彼はまだうろたえていたが、ゆっくりと理解をし、心の声を吐露した。