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愛と罰  作者: 新岡唯
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誘い

絵を描き終え、少しくつろいだ後、帰宅。聞きたかった彼の両親の事や、彼の恋愛話など色々聞く事ができて、私は満足していた。意外にも彼は今まで彼女は1人しか出来た事がなく、その彼女とも長続きはしなかったんだそう。これだけ人の心情を読み取る事が出来るのだから、もっと遊んでいるのかとも思ったが、最初のイメージ通りに遊びはしない誠実そうな人だと思った。

彼は奇抜な格好のせいで、あまり顔には注目されてないのだろうが、綺麗な顔立ちをしている。中性的な顔だ。出るとこに出れば、間違いなく世の女性達が放っておかないだろう。しかし、当の本人はそんな事にあまり興味が無さそうな様子だ。


私は間違いなく彼を好きだ。こんなに簡単に人を好きになるとは思っていなかったが、好きになってしまった。彼は私の事をまるで分かっているかのようにそっと優しく包み込む。無意識な事は分かっている。でもそれがたまらなく心地いい。彼ともっと一緒にいたいと感じるようになっている。でも私のような人間ではない者と一緒になるというのはどうなのだろうか。人間の年齢で言えば、私はおばあちゃんどころの騒ぎでは無いし、戸籍にも載っていない。普通の人間は恐怖するだろう。巧妙に近づいたとしても、気づかれるだろうし、色仕掛けも効果は薄いだろう。色々、考えなければならない事だらけで頭がパンクしそうな時、一通のメールが届いた。彼からだった。


「今日はまた素晴らしい絵が描けました。蘭さんのおかげですわ。僕にとって蘭さんは女神みたいな存在になりつつありますよ(笑) 今度、外で街行く人々の様子を描きたいと思ってるんですが、良ければご一緒しませんか?」


このメールを全て読み終わった後、私の顔は身の毛もよだつ程、締まらない顔をしていたと思う。女神と比喩してくれた嬉しさと唐突に彼から誘ってきた事。それに初めて彼の部屋では無いところで絵を描くのだ。それがたまらなく嬉しく、デートに感じられた。


ただ一つ問題があった。今までは外に出ても、恥ずかしくない格好だけだったが、今度は違う。もっと気品があり、洗練された美しい格好をする必要があった。それはもはや私にとって、当たり前の事で、彼に意識させるための第一歩だと考えた。


さっそくすみれさんに相談をし、洋服と化粧品を調達。来るべき時に備えるのだった。

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