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ソラノカイナ  作者: 夢月
第1章 異世界(?)へと
9/61

第8話「国王兼父親プラス・オリー」

 はい、間に合いました。一週間以内。

 8話です。どうぞ!

 ズガーン…と思いっきり何かの塔にぶつかった。


『あーぁ…』


 カイナが感嘆する声が聞こえた気がした。


「だず…だずげ…」


 痛い。全身が痛い。痛い以外の何の感情を抱くでもなくただ痛い。

 漫画とかアニメとかだったらコマが変わるか次の話に進むかで勝手に治っちゃうもんなんだろうけど。

 違うから。現実だから。

 すぐには治らないから…


「うわ!!宇宙!!大丈夫!?」


 口振りは本気で心配してくれてそう。

 でもこの距離で声が聞こえるのは不思議。

 でも分からないわ。なにがって?表情かなー?塔に半分顔面突っ込んでるから。向こうの景色が見えてるから。

 中の人びっくりしてるわ!!


『なんじゃ?お前は。』


 でもその中で一番冷静な…?王冠被ってる?

 え?国王とかそんな感じの人かな?が、話しかけてきた。


「あ、こんにちは。」


 顔が壁にうずくまったまま僕は話す。

 突っ込む場所がかなり悪かった見たいで、僕の顔の下にはすぐ、カーペットがひかれた大理石の床が広がっていた。

 だから、他の人から見たら側壁の下の方から顔が浮きでてる感じ?なんて表せば良いのか分からないんだけど。

 多分バイク(?)がぶつかった衝撃で崩れたところに丁度僕が顔を突っ込んだのだろう。顔面を打ち付けずにすんだのは良かった。


『お前は誰だ?』


「あはははは…」


 どうしよう。顔の剣幕が怖い。言葉が出づらい。笑うしかない感じ。


『お前は誰だと聞いているのだが?』


「あはは…えー僕は松岡(まつおか)宇宙(そら)です。」


 ルビ入れておいたぜ。何て丁寧なんだろう!


『誰じゃお前ぇぇぇぇぇ!?』


 え?足を後ろに振ってなにするんだよ。おい!!蹴る気だろ!!丁寧に名乗った相手にいきなり蹴りを見舞うとかっ、え。せっかく顔は怪我せずにすんだのに!もういいじゃん!僕をこれ以上傷つけないでくれ!十分じゃない?もう十分じゃない?今日おかしくない?僕に対して暴力的だよ!全体的にぃ!!いや、止まる様子がない。寸止めだよね?ねぇ!ねぇ!!


「えぇ!?ちょっま!?待ってくださ…ぁあぁ!!これには理由がはぁぁぁぁぁ!!」


 あぁぁあ!!ひどい!!殺す気だっただろ!!いや、待って?

 死ぬよ!!この高さは!!


「誰か!!助けて!!」


『あ、落ちてくる。』


「うわわ!!宇宙が!!」


 一体僕は一日に何度助けを乞えばいいのだろう。一日に何度落ちればいいのだろう。一日に…何度怪我をすれば…いいのだらう…


「助けようとしろよ!!」


 助けてもらう立場で言える言葉じゃないんだけど!!

 落ちるんだ!!落ちていく!!(当たり前)

 嫌だ!!まだ、まだ死にたくない!!


『あー落ちたな。』


 ドォォン…という音が耳元で聞こえた。聞こえた。

 聞こえた?


「あ…れ…?何で生きて…」


 僕が落ちたところは砂に変わっていた。

 変わっていたと言うか、あの…隕石が落ちた後、みたいな。

 でも、何だ。結局は助けてくれんじゃないか。


「ゲホッ!!ゴホッ!!」


 砂ぼこりがすごい…

 腕の傷に砂が混じる。これ膿むやつだよ。


「そらぁぁぁぁ!!」


 死んだ事を信じているかのような叫び方をする志甫。


「ゴホァッ!!生きてるわ!!」


「え?」


 あぁ、砂ぼこりが収まってきた。


「死んだ程で叫ぶなよ!」


 死んだことを確認してから叫べよな…


『おー!!やっぱ生きてたか!』


「え?そりゃ、お前が助けてくれたんだろ?」


『え?違うぞ?私は何もしていないからな?』


 は?どういうこと…?


「うわーん!!よかった!!」


 考える暇を掻き消すように志甫が抱きついてきた。


「うげへ!!」


『よーし!!宇宙は無事だしあの塔に登ろうか!』


「え!?登んの!?」


『あぁ!私の父親、で、国王・プラス・オリーがいるからな。』


 さっきの父親だったのかっ!?


『あ、テール・オリーでもソイル・オリーでも何でもいーぞ。』


 そこらへん適当だな…


「宇宙?顔めっちゃ赤いよ?」


 抱きついたまま上目使いで言ってくる。可愛…


「は!?!?まさか!?ごめん…宇宙…私はみんなの私なの!!」


「はぁぁあ!?」


「私に抱きつかれて顔を真っ赤にしちゃうなんて…もう…!」


「まってぇぇ!?違うからね!?これは多分!?蹴られたからだよ!?」


「誰に?」


 めっちゃ笑顔だ…自分から言わなかったからか?僕が上手くはめられたからか?


『その話歩きながらでもいいか?』


「あぁ。て言うか正直どうでもいいだろ…

その前にー…傷治してもらえませんか…?」


 傷を治してもらい、それから説明した。膿む心配がなくなったので少し安らかな気持ちだった。

 ちなみにもう、塔の中だからね。


『あっはっはっは!!父に蹴られたのか!!』


 話を横で聞いていたテールが反応した。


「元気なお父さんだこと…」


 僕は軽く悪態を吐く。

 この階には僕が乗っていたバイク(?)が突き刺さっていた。


「何で蹴られたのかさっぱりだ…話し合おうぜ国王…

て言うかあのバイク頑丈なんだな。」


 バイクが見えたので僕は話を逸らそうとバイクの話を振る。


『あぁ!そうだなー出るスピードが速いからじゃないか?』


「そうなんだー蹴られたんだ~」


「話題を変えようとしたのに何で戻すんだよ…」


 もういいじゃん。蹴られた話。


「えー?あははは。」


「どう返せばいいのか分からないんだけど。」


『語彙が足りんな。』


「そういう問題?」


 しばらく階段を登ると、重々しそうな扉が見えてきた。

 重厚感のある。ってやつかな。


『もう着くぞ。』


「て言うかどうしてここに来たの?」


 志甫が首を傾げて言った。


『お前には助けてもらわなきゃいけないからな~

そのためにちょっとした、な…』


 と、僕の方をチラッとみた。

 何か不安しかないんだけど?嫌な予感…。


『只今戻りました!!』


 テールが登り終えた瞬間に叫んだ。

 扉の向こうから何やらざわざわ聞こえる。

 扉が開く。

 扉の内側は、長い細いテーブルが2つあり、部屋の壁に沿うように置かれており、そのテーブルに椅子が8つほど添えられていた。そこにそれぞれ一人が座っているのでこの部屋には二十人居ることになる。

 僕、志甫、テール、テーブルに座っている人たち十六人、そして国王。


『よくぞ帰ってきた。』


 あ…やっぱりさっきの僕を蹴った人だ。

 テールは数歩前に進み膝まずく。

 僕と志甫はテールの一歩分くらい後ろで何となく同じように膝まずく。


「あの人が宇宙のこと蹴った人?ププッ!!」


 耳元で志甫が馬鹿にしたように笑う。

 うぜぇ…でも?この僕は心が広いので~はい。

 許してしんぜようではないか。


「調子にのんなよグズ。」


「え…」


 何で!?いきなり!?

 いや、たまにこういうことあるんだけど。心の中を読まれているようで怖い。


「ごめんなさい…」


 下手に出るしかないのです…

 志甫ってキャラクターがぶれぶれだから。気まぐれ?

 でも軸はしっかりとしていて、軸は不思議キャラクター。…不思議キャラクターって軸になんのか?まあいいや。

 さっきみたいにたまにおかしくなるときがある。

 小声で調子にのんなよグズは怖い。しかも笑顔なんだもん。怖さ倍増だもん!下手に出るしかないんだもん!


『で…収穫はあったんであろうな?』


 あの人の名前は確かプラス・オリー。国王、兼、テールの父親。


『はい。』


 膝まずいた状況でテールが答える。親子といえどもやっぱりそういうとこはきっちりしているのか。


『こちらです。』


 テールが立ち上がりこちらに来る。

 肩を掴まれて立ち上がらされた。


『こちらが、"異界で力を持つ"松岡宇宙と言うものです。』


『あ…』


 さっき蹴った奴だ。みたいな表情してる。


『ゲホッ…其奴はどのような能力を有しているのだ?』


 あ…そらした。


『"破壊"』


 そう言った瞬間周りに居た人たちが驚きの声をあげた。


『ほう…』


 国王も驚いて…え!?は?破壊の力!?


「えぇ!?」


『どうした?』


「いや、僕に破壊の力とかないだろ!?」


 大体、最早何でこんな場所に来たのか分からなくなった。やばい。

 思考がまとまらない。

 そんなことを考えている間、志甫は何かに納得が言ったように呟いていたらしい。

 僕にはギリギリ聞こえなかったけれど。


「そうか…そうなんだ…だからあの時──」


『さっき使ってたじゃないか。』


 え…その言葉で僕の思考は一旦完全に停止した。

 …さっき使ってた?

 あぁ…あの時か。塔から落ちたときに自分の身を守るために使ったってことか。って冷静に分析する僕すごい。


『見せてみよ。』


 国王無茶ぶりすぎる。


「いや、どうやって使ったのか自分でも分からないんです…」


 大体、いきなり破壊の力とか。あなた破壊の力持ってるんですよ!!

 って言われても全く実感とか沸かないし。

 嘘だろってまだ思ってるから。て言うか嘘だろ。

 何?どっちの右手に封印されてんだその力。それは疼くのか?


『そうか。じゃあ他に何かないのか?』


 聞き方軽いな国王。コンビニで欲しいのがなかったときに、「え、じゃあ○○はない?」みたいな感じで聞くなよ。それほど便利じゃないだろ僕。


『今の所は。』


 他に付け足されんのかよ。後付け設定とかやめてほしい。

 左手か?次はどっちの左手だ?それは疼くのか?


「まだあんのかよ…」


『あぁ?』


 国王に威圧された…て言うか声に出てた…


『まあ、良い。宿を貸してやろう。そこで休むが良い。』


『はっ!』


 再び膝まずくテール。


『ところで、そこの娘は何だ?』


『あぁ…』


 何て紹介するのか迷っているようだったが…何かを閃いたのかテールは言葉を発した。


『友達です。』


『!』


 国王は少し驚いた表情をしたが、


『そうか…』


 と、落ち着いたような、安心したような顔でそう言った。


『では、失礼致します。』


 扉が開いた。

 テールが立ち上がり出ていくので僕もそれに吊られて出ていくことにした。

 その時のテールの表情は何だか誇らしげだった。


「失礼致します!」


 と、一応言っておいた。


 扉の外に出た。

 今思ったのだが僕はこれからどうしたら良いのだろうか。

 まさか前戦に立つとか?

 それは嫌だ…

 気になる所なので聞いておくことにした。


「テール、僕はこれからどうしたら良いんだ?」


『…』


 少し考える素振りをして、テールは。


『そうだなーまずは力を操れるようにならなきゃなー』


 まじか。今まで結構楽しめの世界観で来たんだから、もう…そう言うのいいんじゃないか、と思ってたんだけど。


「それなら私こそどうすればいいの?」


 あ…確かに。志甫とか何しに来たんだよって感じだからな。


『あー…先の事を考えるのは嫌いだ。なるようになれって感じだなーその時その時に考えるさ。』


 適当だな…ほんと、これからどうするんだろうな。地球に…帰れr、いや、ここが地球だから。きっとこれは、そう。あの有名な人間観察バラエティーだよ。きっと。探せばカメラあるんじゃね?


『とりあえず今は宿に行っといてくれ。あ…一部屋しかないからな。』


「「えぇぇ!?」」


 ハモったわ!!待ってそれは気まずいわ!!


「ちょちょちょっと待ってくれ!?え!?待って!?一部屋だけ!?僕の聞き間違いとかじゃなく??」


 気まずいんだって!!

 大体女子と同じ場所で寝るなんてそんな淫らな真似が出来るわけなかろうが!!


 とか思っていたけど結局流れに流されて。


「こうなんのか…」


 僕は志甫の後に部屋に入った。

 と、入って直ぐに志甫が止まったため部屋の全体が見えなかった。

 お風呂場が僕の横にあった。


「ベッドは2つあって良かったね…あーそうだ!!お風呂入ってくる!」


 え!?いいな!頭ベトベトだから僕が先に入ろうとしてたのに!レディーファーストの欠片もない行動をとろうとしていたのに!


「あれれ~?何だね~?その羨ましそうな目は~?」


「あれ!?そんな目してた!?」


 でも志甫が見てるであろう目線が僕の頭の数センチ上な気がするんだけど?目とか見てない気がするんだけど。


「ふっふっふ…一緒に入るかい?」


「はぁぁぁ!?」


 え!?ちょっと待て。いや、待て。

 今回ちょっと待てばっか言ってんぞちょっと待て。

 冗談…だわな。この顔は。つまらん乗りだ。乗ってやろうではないか。そして慌てふためく志甫の顔を拝んでやろうじゃないか!


「はっ!いいだろう。」


「よし、じゃあ行こうか。」


 冗談じゃない!!冗談じゃないじゃないか!?え!?ちょっと待て!!


「ちょっと待って!?」


「ん?何かね。」


「いや、待つ前に待て。そのキャラクターをやめろ。」


「何。」


 温度差が激しい!!


「うん…まあ…いい。えーと…冗談じゃなかったの?」


「はぁぁん!?バッキャロー!!」


「ぐへぇばべばぁぁ!!」


 殴られた!?しかもアッパー!!


「男に二言はないんだバッキャロー!!」


「うげぇあ!!」


 みぞおち…そして顔にひじうち…


「ぐはっ…」


 ナイスコンボ…


「さあ!いくぜよ!!」


 え…ちょっと。


「ストーーップ!!」


 と、掴まれていた腕を払うと志甫はベッドに倒れこんだ。


「んっ…」


「おい!本気で言ってんの!?」


 ん?何か顔赤くないか?


「しゅー…しゅー…」


 呼吸音おかしいし。まさか。

 ダースベ…やめとこ。熱かな。

 そう思い志甫の髪を上げ、おでこにおでこをくっ付けた。


「あっつ!!」


 熱あるじゃないか!!


「おい!大丈夫か!?」


「はっ…バッキャロー…」


 軽く笑った後に弱々しくバッキャローを言われても…

 どうしよう…迷う。僕はこんなときでも迷う。

 すべき事は分かっているのに。迷う。

 小さいときはもっと思いきった行動が出来ていたと思う。のに、今の僕は。

――――――――――――


To be continue.

 ここまで読んでくださりありがとうございまふ。

 まふ。はい。特に意味はないです。

 次話は、えー、っと。一瞬志甫の昔の話をします。

 はい、多分6日間隔で出すことになるかと思われます。間に合わなくても一週間以内には出します。です。はい。

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