第6話「鎖の言葉」
6話目です。
一週間内に出せました。良かったです。
では、どうぞ。
ぐんぐんと上に上がっていく。
「はやっ…」
これならすぐに着くんじゃないかと思ったが思っていたより遠いらしい。位置がほとんど変わらないように思えた。てか変わってない。
地面に足を着けていたときと何らネブェイテス?ん?違うな。ネフィテス?違うな…(正ネブィテス)と、あの空中都市の見えかたに変わりはなかった。
なのに何故速いと感じたか。
それは地面が遠ざかって行ってるからだ。
地面からは確実に遠ざかって行ってる。だけど、上を見ても何の変化もない。
『疲れた。』
「はやっ!?」
まだ1分も経ってないんじゃないか?
全然近付いてる気がしないんだけど??
『一旦休憩だ。』
「え!?ちょっま…」
やばいっ!見えないんだよ!!その鎖とやらが…
他の2人には見えているらしいが僕には見えないんだよ!!
うわーあー何で言わなかったんだろー僕の馬鹿!
『大丈夫だ安心しろ!落ちたときは私が責任を持って…』
「責任を持って?」
助ける。だよね。うん。
『止めを刺す。』
「止めを刺しちゃだめぇ!!助けよう!?落ちる前に助けよう!?落ちた後も助けようとして!?」
だめだよ!助けよう!
うん!?見捨てちゃだめだよ!!止めっておいっ!
『え!?落ちた後は助けるよりも殺されたほうがよくないか?』
「いや!?殺しちちゃダメだから!?何でそんなに殺したがるの!?」
『苦しいと思うぞ?
もしお前が死にかけの状況で助けれるような状態でなかったら迷わず殺すから安心せい。』
何故か自分の手をきれいに揃え、刀のような形にしたかと思えばどや顔でそう言った。
どういう選択じゃい。どや顔で言うことじゃないしな。
「安心できねぇ!!」
「ほら、もうおりよう?」
志甫が現実を突きつける。
このネタであと5分は持たせたかった!なるべくおりたくないから…怖いじゃん!
あれだよ?ウンチャラタワーとかによくある下がガラス張りになってて見透せる☆とかそんなレベルじゃないからね!?
言うなればタワー全てが透っけ透け!!って状況だから!!
どこぞのよく眠る名探偵だったら泡吹く位だわ!!
少しずつ下降していくテール。下降…してるのかな?何となく降りてる気がする。何せ景色が変わらないから。分からない。下は世界の大穴。上は空中都市。横は山が見えるな。下との差でしか判別できないからさ。
『よし、じゃあ飛び乗れー』
「何に!?」
「え?鎖じゃない?それ以外何があるの?」
何も見え無い状況なんだよ志甫ちゃん!!
「あぁ…そうだね…」
一様話は合わせる。何にも見えてないだけであるはずだから。
うん。きっと。しんじよう…うん…
え、ないよね。無いとかないよね?飛び移ろうとしたらもう戻れなくなるとかないよね。ずっと落ちてくとかないよね。て言うか地球に見えない物質とかある?ないよね。何?この星にはあるのか?いや、ないよね。うんそう。ここは地球。だからそんなものはない。うん。あれ、でもそう考えちゃうと僕死んじゃうんだけど。
「宇宙って何が見えてるの?私は可愛めのんでカイナはカッコいい系らしいよ?」
「え?」
考え事ナウの質問だったので思わず聞き返す。
「宇宙にはどう見えてるの?」
「あ、あぁ。」
何が見えてるの?って。うーん。何も見えてないとは言いづらい。今まで見えてる程で通してきたから。
「うーん、僕もカッコいい系だよ」
「そうなんだー?」
何か疑われてない?なぜ?なぜってまあ嘘だから疑われても仕方がないのか。いいや、あるとは限らないので嘘とも限らないな。だって僕には見えてないのだから。
「ま、いっか!!」
一体何を察したのかそれ以上追及してくるようなことはなかった。
『もう降ろしていいか…』
「わお!!ごめんカイナ!!あそこの平らめな場所にしよ。」
どんどん近付いていってる…のか?分からない…
『よし…降ろすぞ』
「はーい!!」
何で志甫こんなテンション高いの!?ピクニック気分…?
「とう!!」
下りたのか?
ん…足の裏に何かが当たってる感触はある。
でも…怖…高い…足がすくむ…腰が抜けた気がする!
「あはっ!!」
「ん?」
「あはははは~!!」
「え?」
「あっはっはははっは!!はっ!!」
意味が分からない!何であるんだ?いや無かったら多分死んでたんだけど。その部分に関してはあってくれてありがとうなんだけど。どうして僕には見えないのか。ものすごく怖いんだけど。
「宇宙が壊れたー!!」
『あぁ…この程度で…』
ダメだこりゃ。ちょっと歩こう…頭を冷やそう。落ち着こう。餅つこう。2人の周りなら安全だろ…あぁー…っ腰が引ける…っ!
志甫とテールの回りを腰が引けた状態でぐるぐると回りはじめて半周ほどで志甫がいきなり僕に怒鳴った。
「あぁ!!そこをすぐにどきなさーい!!」
「は!?何で!?」
「顔踏んでる。」
は!?顔!?
「何の!?」
怖ぇーよ!!顔って何!?一体志甫には何が見えてんの?
「ぬいぐるみ達に決まってるじゃない!!」
「別に決まってないからな!?」
て言うか本当にどんな風に見えてるんだよ。
「志甫にはどう見えてんの?」
気になるところだ。
「え?ぬいぐるみ達が手を繋いだ輪が鎖っぽくなってんの、」
それ可愛いめなのか?
怖くない?
ミステリーだよ。ミステリアスだよ。ミスマッチだよ。
ぬいぐるみが鎖っぽくってそれぬいぐるみじゃないよな。
ぬいぐるみって綿を布でくるんで縫う訳だからぬいぐるみな訳で。材質が鉄だったら…なんていうのかな?
鉄ぐるみ?笑
「…はぁ…はいはいどきますよーっと…」
志甫がむすっとしているので早々に退くことにした。
そこから数歩動くと。
『それ以上いったら死ぬぞ!!』
今度はテールが僕に怒鳴った。怒鳴ったというよりも注意した、か。
「え!?」
『あぁあ!!あぁ…』
何で落胆してんの?意味がわからない。一瞬落ちるのかと思ったら落ちてないし。
「何?」
『ひぃぃぃぃ!!お前ゾンビか!?』
「は?何で!?」
『お前、頭ぶち抜かれてるぞ…』
「何に!?」
おいおい…テールには何が見えてるんだよ…
『バラの棘に決まってるだろ。』
「別に決まってないからな!?」
何でバラの棘!?
『いや、え~?』
「テールには何が見えてるんだよ。」
『鎖にバラのつたが絡まってるんだ。』
「それだったらそんな大層な…死ぬわけないじゃん?あんな小さなトゲでさ。」
はっ…馬鹿馬鹿しい。大体痛くも、痒くはあるが…
さっきの砂漠のせいで頭も体も汗だらけでかなり気持ち悪い。
『いや、そのバラの棘めっちゃでかいから。
お前の眉間ぶち抜かれてるから。』
「え!?じゃあ何?
僕はさっきから眉間ぶち抜かれた状況下で話してんの!?」
『あぁそうだ。』
あぁそうだじゃねぇよ。なに冷静になってんだよ。流血やばいだろ…
普通に生きてて頭ぶち抜かれるとか…
しかもバラの棘に?
嫌だよ…
死因
後頭部から眉間まで貫くバラの棘による脳の大部分欠損による死。とか。
監察医の人笑うよ?
え!?こいつバラの棘に刺されて死んだの?あっはっは!!ドラキュラかよ!!
って。
「その場合バラの棘がでかいことに対しても何か言わなきゃ。」
耳元で志甫が囁く。
「ドゥゥワァ!!??」
思わず飛び退いてしまった…
『おい、私はもう回復したぞ?』
「おぅ!?おぅ?」
何で心の中で考えていたことに突っ込まれたの?
え?あれれ?声に出てた?
「よしいこーう!!」
『…』
カイナが志甫の耳元で何かを呟いた。
『では、』
掴まれた。
腰に腕を回され、荷物を持つみたいな感じで。うん。掴まれたっていうか持たれたって感じだ。
『とう!!』
テールが羽ばたいた。さっきと同じくらいスピードが出ている。
今度もぐんぐんと上がっていく。
「すげぇ…」
今、時計とかを持ってなかったし時間帯がわからなかったけど。
夕陽が綺麗だ。
今までの死にそうになったりしたときの事が嘘みたいで、時間が流れるのがすごく早くて。
何だかずっと昔の事を思い出してるような気になる。
『遮るものが何もないからな。』
「今までみた夕陽の中で一番綺麗だと思います…」
確かに。
地平線もくっきり見えているし。
綺麗だ。今までにないくらい綺麗な夕焼け。日が落ち始めている方向の反対側はもう暗くなり始めており、星が瞬いていた。
しかし、不思議だな。あの都市には近付いてないように見えるのに下を見たらちゃんと離れてってるし。
『急がなきゃだな。』
「何で?こんなに綺麗なんだからもっとゆっくりすればいいのに…」
志甫がゆっくりとしたトーンで呟いた。
しかしテールは。
『そういう訳にはいかないんだよ!!』
スピードをさらにあげる。
「何でなんだよ?」
あれ?聞こえてないのか?
「何でなんだよ!!」
『あぁ!?何か言ったか?』
あぁ…風の音で聞こえないのか。
さっきの結構大声で言ったんだけどな。
ふぅ。
「何でなんだよ!!!!!!」
『うるさいわ!!』
まじか…
聞こえるように言っただけなんですけれど…
『ここは、日が沈むと気温がさがるんだよ!!』
微かに聞こえたその声は荒々しかった。
そんなにやばいのか?
「え…何度ぐらいだ!!??」
『マイナスー…』
マイナス!?
『50度ぐらい。』
え…やばいじゃん。死んじゃうよ…!?凍死だよ?
「い…急いで下さいっ!!!!!!」
思わず丁寧語で言ってしまった。
『分かってる!』
陽が刻々と、着実に地平線に近づいていく。
あの空中都市とやらにはまだまだ着きそうもない。
「このままじゃ凍え死んじゃう…」
『あっははは!!もうすぐ着く!!』
いや、まだまだじゃねーか!?
瞬間。一気に空中都市に近づいた。
「はぁぁあ!?何で!?」
『ちょっとした魔術でな!!
もうそろそろ着く!だが、その前に休んでいいか!?』
「え!?もう目の前じゃん!?」
『疲れた☆』
疲れた☆じゃねぇぇ!!
いや、でも確かに今なら休むだけの時間はある。
それにさっきよりも速いスピードで、しかも長い間飛んでるから、それなりに疲れてるはずだし。第一、上る途中で力尽きて落ちられる方が嫌だ。
少しずつ減速していく。
「うん。分かった。休もう。」
『お?意外だな。疲れた☆じゃねぇぇ!!
とか言ってくるかと思ったのにな。』
思ってはいたが。
「無理をさせるのも悪いなーと思っただけだよ。」
と、横から志甫の声が聞こえた。
「宇宙…いつからそんな─────に…私──い?」
上手く聞き取ることが出来なかった。
───
『よし!降りてくれ。』
さっき下に鎖が存在することは確認したので先程のような不安感はない。
「よ!!」
飛び降りる。
「あれ?」
あ、足ついた。
今2、3メートル落ちたくない?
「あぁあぁあ!!よかったぁ~…」
「…」
志甫も降りてきた。
『よし!私はしばらく寝るのでよろしく!!』
「え!?何で!?」
休むって寝ることだったのか?
『寒さが限界になったら起こしてくれ!励ますから。』
「出発しろよ!!」
『あっははは(+.+)(-.-)(_ _)..zzZZ』
眠りに着くのはやっ!どこかの早寝が得意な小学生並みだ。
まあ、しばらく寝かせてやるか。疲れてるだろうし。
…どの立場の発言なんだろうな…今の。自分で思ったことだけどすごく偉そうに感じた。
「志甫はどうする?寝とくか?」
僕は寝れないわ。一歩間違えば落ちちゃうし。その場合永久に眠ることになるから。
「いや…いいよ。私は別に疲れてないし。」
「ふーん?そうか」
…
………
気まずい。話題がない。大体女の子と話の合う話題なんて無くね?
話題が無くて僕は泣くね!!
今の上手くない?
はい、すみませーん。調子に乗りましたー…全然そんなことないでーす。
―五分後―
「寝んのかよ…」
体育座りで寝てる。
膝と膝の間に顔を挟んで。
あの体勢疲れないのかな?背中めちゃくちゃ痛そうなんだけど。寝かしてやった方がいいよね?
まだ暖かいし。
そんくらい時間あるだろ。
とりあえず脇を持って志甫の体を伸ばす。
寝転がしたら、テールの近くにでも。
うーむ。爆睡だな。
何で起きないのかが不思議なくらい。
───
~志甫side~
おぉ!!
寝かしてくれたのかな!?
でもごめんね!?
起きたから…うとうとしてただけなんだけどー…
あのぉー!さっき脇持たれたとき当たったよね!?手があれに当たったよね!?
きいゃああぁぁぁぁぁ!!恥ずか死ぬぅぅ!!
───
両方寝ちゃったか。
まあ志甫だって灼熱の砂漠を歩きつかれてるだろうし。僕だって疲れてんだけど…寝たら死にそうで怖いし。
とりあえず…ん?
文字が浮かんでる。あ、そうか。鎖がここにあるんだったな。じゃあ誰かに書かれたものなのかな?こんな場所に書くなんて物好きもいたものだ。
夕日でギリギリ見ることが出来た。
何語?英語っぽい?かな?
でも何か違うよな。
何て書いてるのかわかんない。何かしらの法則性はあるように感じる。言うなれば韓国とかのハングルみたいな。
だめだ!わかんないや!!でも本当に不思議だね。
そう思い文字に触れようとする。
「触れない…?」
僕が触っている、見えないが触れているであろう鎖の数㎝先に文字はあった。
てっきり外から掘った字だと思っていたから意外だ。
「だとしたらおかしくないか?」
だって、これだったら鎖の中に文字があることになるじゃないか。
とか考えてたら耳元で。
「何が?」
「イピギャァァァァ!?」
「あはは。変な叫び方。」
「起きてたのかよ!!」
「どうしたの?何がおかしいの?」
あれ?おかしいな。
ぼそぼそと呟いた程度だったはずなのに。
「て言うか聞こえたのか?」
結構、距離あった…あ、近付いてきてたんだから聞こえるか。
「いや、やっぱり答えなくていい。」
「そう。でふぁ~、何がおかしいの?」
あくび混じりに志甫が言う。
「いや、とあるものが自分が想像してたより遠くにあったもんだから。」
「え?それの何がおかしいのぉ~ぁあふぅ?」
あくび…我慢できなかったのか…
「いや、考えたら大しておかしくなかったわ!気にしないでいいよ。」
「そう…?」
「うん。」
一様文字の並びとスペルは覚えた。
後で紙にでも写しておこう。鞄は持ってきたまんまだし…
この世界であの文字に似た文字を見たらその時に聞こう。どういう意味なのか。
さて、寒くなってきたし…
テールを起こすか。
────────────
To be continue.
ここまで読んでくださりありがとうございます!
たまたま知ったのですが、夢月ってキャラクター居るんですね…知りませんでした…
7話目は、宇宙が飛びます。はい。飛びます。
次話も来週までには出すと思います。