2日目【前半】道との遭遇
夜が明ける。
彼らが今何を考え、何をしようが時間は進む。
「明るくなってきたなぁ、神崎、小林、ちょっと、動いてみるか?」
「迂闊すぎるんじゃないかしら。」
「俺は、少し周りを見て回りたいっていうのもあるから移動したいかも。食べ物もないし、ね。」
「うーん、そうだなぁ、腹減ったし、ちょっとうろうろしてみるか。小林、慎重に行けばいいよな?な?」
慎二が口と目で訴える。
「はぁ。仕方ない、か。わかったわ。けど慎重にね?あんた達男なんだからちゃんと守ってよ?」
「任せなって!」「あはは…」
自信満々な慎二に比べ、あまり自分に自信の無い洋平は、あまりいい返事はできなかった。残念。
「俺が先頭突っ切るから、2人はついてきてくれ。一応後ろの警戒は任せたぞ?」
そう言いながら慎二は草むらを分けて進んで行った。森の中を闇雲に進むのは危険過ぎる行為だが、彼らはそれを考える余裕もなかったし、それ以外に方法がなかった。
「…これ、食えそうだな、よし食おう。」
慎二は木になっていた桃のような果物を口に入れた。すると
「うまい‼︎なんだこれうまい!桃だぞ桃!ほら2人とも!」
そう言って2人に桃のような果物を差し出す慎二。
「絶対危ないでしょ。まぁ食べるけどね。」
「おっ、確かにうまいなこれ。腹減ってるからかな?なんかすげージューシーだなぁ。」
今回はたまたまあたりだったようだが、本来は自殺行為だ。桃のような果物を食べ終わった3人は、少し果物をとって、洋平のフードの中に入れた。彼のフードはこれからこんな使い方がしばらく続くのだろう。きっと。
しばらく進むと、さらに奇跡が起きた。
「おい見ろよ2人とも。水だ。しかも獣道みたいなのもあるぞ。あれを辿れば何かしらのひらけた場所に出れるかもしれない!」
「やった!」「やったね!」
3人のモチベーションはどんどん上がって行った。
だがここで洋平が気づく。
「けどなんでさっきから動物がいないんだ?それになんで動物が見当たらないのに獣道が…」
「そうね。おかしいわ。まぁけど、広い道に出れるのは大きいわ。いってみましょう。」
獣道を進むと、森が開けてきて、大きな道に出た。
「道だ!」「みちだ!」「道だ!」
まさに奇跡である。だが、道が存在するという事は、文明が存在するということだ。彼ら異邦人がどのような扱いを受けるかはわからない。
2日目です。早く文明とのふれあいがみたいなぁー