第1章 〜異世界に転移したけど、実際してみると心配の方が多いもんだよね。1日目!【前半】
『「そうか、これが私達人間の可能性、というものか。美しいな。」
そう呟いた男の体に青年の放った渾身の剣技が直撃する。
「あなた達は何の為に俺の大切な人達を奪ったんだ。なんの権利があって!何の意味があって!クソッ!本当に何なんだよッ!」
そこに倒れた男の亡骸を背に青年が叫ぶ。
だが男の返事はなく、ただ、雨の音だけがしていた。』
「いやー、これもほんとつまんなかったなー。最近こんなんばっかだよな。もういいよ飽きたから。ほんとに。異世界転生とかゲームの世界に閉じ込められるとかまじ飽きたわー。」
そうぼやきながらも彼の本棚にはそのアニメの原作がズラリ。その上彼はリアルタイムでアニメを観るために深夜までちゃんと起きているのだ。ほんとは好きなんだろ。楽しみだったんだろ。素直になれない16歳、職業は学生、名前は神崎洋平である。
「起きろ、早く起きろ私は暇じゃないんだやることが沢山あるんだ!お き ろ ! もう7時過ぎるぞ!」
「わかった今起きるほら起きた!ね!痛いからやめて!」
妹の目覚ましビンタで目を覚ます洋平。
毎朝の恒例行事である。そして顔を洗って歯を磨いて着替える。朝食は摂らない。とる暇がない。
彼の朝は忙しい。いや、慌ただしい。
学校へは徒歩と電車だ。大体20分。ギリギリで朝のHRに間に合い、一息つき、寝る。昼食は食堂で友達と食べる。食後の休憩を挟み、寝る。そして部活の為、格技場に行き、寝る。部活が終わると速攻で家に帰り、夕飯を食べ、風呂に入り、後はアニメやネトゲ、ラノベを読んだりして寝る。そんな毎日だが本人は気に入っているようだ。不満がないわけではないが。
「俺もゲームの世界に閉じ込められたり、異世界に転移したりしないかなぁ。はぁ。」
ラノベを読みながら洋平がつぶやく。
そういったものに興味がある人間なら必ずと言ってもいいほど一度は思う事だろう。だが、それが現実になるとは思わない。あくまでもそれは《希望》や《夢》であって、《現実》に起こっている事ではなかったのだから。この時は洋平もまだそうだった。
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洋平が目を覚ました時、彼の目に映ったのはいつもの見慣れた妹の不機嫌そうな顔ではなかった。彼が感じたものはいつもの眠気とビンタのひりひりするそれではなかった。
彼の目に映ったのは、星満点の夜空。
空が感じたものは、肌寒さと地面の固い感触。
当然、その状況を理解できなかった。
「え」
まぁ、予想通りの反応だ。
「リアルな夢だな、うん。あれか、最近流行りの明晰夢ってやつか。それにしてもめちゃめちゃリアルだなぁ。」
驚きのあまり独り言が止まらない。
そして彼も盛んな年頃である。明晰夢のことを知っている童貞なら、そう思うだろう。
「おっぱいが触りたいぞ!女を探せ!」
そういって彼が立ち上がった瞬間、彼を突然の頭痛が襲う。そして同時に一つの念、イメージのようなものが彼の頭にハッキリと現れる。
「…….右?」
そのイメージに従い彼は右を向いて真っ直ぐに歩き始めた。森の中、それに夜だった。その先に何が待っているかはわからない。不気味で怖いとも思った。妙な静けさに彼の本能は全力で危険サインを出していたが、何故か彼はそのイメージに逆らえなかった。
ここまで読んでくださった方々、ありがとうございます!
初めまして!
ちよろまんです!
文章力とか語彙力とかほんとにダメダメかもしれないんですが、毎日更新とかをモットーにやって行きたいと思います。アドバイスとか指摘もガンガンお願いします!グダグダにならないようにもちゃんと気を遣いながらやっていきたいと思いますね!