プロローグ
ザー・・ザー・・
激しい雨の音・・・
2008年8月20日
この日の夜は、まるで夏ではないような肌寒さと、いつまでも続くのではないのかと思うくらいの雨が降っていた。
そんな中、
岡村祐一<おかむらゆういち>は暗い病院の長椅子にポツリと座っていた。
まるで世界が終わったようだった・・・
この現実から逃げ出したかった・・・
頭の中が混乱しているようで、
これは夢だ!早く覚めろ!!と、目を強くつぶったり、頭を抱えてグッと力を入れてみたりした・・。
それはいきなりの出来事だった・・・
「優子が亡くなった・・・」
「交通事故で・・・」
それは優子の父親からの電話だった。
「え?・・・」
祐一はどうゆう事かよく分からなくて、次の言葉を聞くまで固まっていた。
「今日の夜中・・・優子が車に跳ねられたんだ・・・どうやらひき逃げらしい・・・」
「ひき逃げ?・・・」
「ああ・・信じられないが・・・」
優子の父親はかすれた声でそういった。
それを聞いた祐一は、頭の中が熱くなり、ブルブルと震えた。
さっきまでいっしょにいたのに・・・
「祐一くん、大丈夫か?・・今、岡沢中央病院にいるんだが・・・こられるかい?」
祐一はハッと我にかえった。
そして、急いで車のカギをとり
電話も切らずに家を飛び出した。
外は先ほどと一変し、雨がザーザーと降っていた。