詐欺師と勇者とカタカタ村
気が向いたので更新!
今回アホみたいに短いです!サーセン!!
少年に連れられ森の中を歩くこと10分。村どろか民家らしきものは全く見当たらない。それはいい。問題なのは森の中を10分も歩いているのにモンスターに全く遭遇しないということである。モンスターだけではない。動物も虫も見当たらない。おかしい。
太陽は沈み月明かりのみの明るさとなった森の中は薄暗く、ただただ不気味で居心地が悪かった。
一歩一歩森の奥に進むにつれ心なしか歩く足が重くなるように感じる。消して疲れている訳ではない……と、言いたいのだが断言はできない。コウキと行動を共にしてからの精神的ストレスが溜まりっぱなしだからな。
「よし、あと少しだよ!ッ!?おじさん顔色悪いよ?!大丈夫?」
「ほ、本当なのです!」
コウキとリリーは歩みを止め俺を見る。どうやら俺の顔色が悪いようだ。疲れが顔に出るまでにストレスが蓄積していたのだろう。
だが、こいつらに心配されるのは妙に腹が立つ。リリーに心配されるほど俺は軟弱ではない。コウキに限っては俺のことを内心馬鹿にしてそうだ。裏と表がある奴はめんどくさいとつくづく思う。
「大丈夫だ、問題ない」と答えると「ぶふ!なにフラグ?フラグなの?やめておじさん!怖いっ!!」とコウキが突っ込まれた。
"フラグ"とはどういう意味かわからないがとりあえず馬鹿にされていることはわかった。…クソが。
それから数分歩くと森を抜けた。森を抜けた先は(暗く詳しくはわからない)いくつか民家らしきものが薄っすら見える。
「ホッホッホッ!よく来たのぉー!」
突然声が聞こえた。
渋く歳を思わせつつも明るく陽気な声だった。
…。
……。
………?
アレ?今の声、何処から聞こえた?
不意のことだったからか、森を抜けて気が抜けたからか、はたまたストレスで頭がおかしくなってしまったのか……。なんにしても理解が追いつかない。
遠くから聞こえた?後ろから聞こえた?上?足元?それとも耳元で囁かれた?それとも幻聴?
心拍数が上がるのを感じる。同時に視界が歪む。めまいだ。
目を閉じ、大きく深呼吸。
スー ハァー
ゆっくりと目を開く。
すると、ソレは目の前にいた。目の前だ。
思わず後ろに飛び退く。しかし、足がもつれ尻餅をついた。
「フム。本当によく来たのぉ」
先ほどと違い感心したかのように俺を見下ろしながら言った。
その後、手を差し伸べてきたのでその手に掴まり立ち上がった。