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究極の愛  作者: 瑠璃
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半月後、便器に腰掛けた俺はいつものように棚を見る。


表面いっぱいに描かれた幼稚な動物たち。


人生の半分を共に過ごしてきたのに、俺は妻の本当の姿を知らなかった。


きりきりした痛みが胸を刺す。


あれだけのケンカをしたのは、この15年間で初めてだった。


彼女は今頃何をしているだろう。


棚の動物たちは俺の気持ちを知ってか知らずか、優しい笑顔を浮かべながら戯れている。


俺はしばらくそれを見ていたが、便を拭き取るため向き直った。


手にしたトイレットペーパーを一度握り、くしゃくしゃにしてから尻を拭く。


これも彼女に教わった方法だ。



尻を拭き終え、「ふぅ」と溜息にも似た吐息を零し、俺は改めて棚を見る。


細長い棚の天面、その小さなステージに立つ小人はどこか誇らしげで、いつものように満面の笑みを浮かべている。


その真っ黒な瞳には便器に腰掛ける俺の姿。


小さな少女に、俺は優しく微笑みかける。


「結衣、今日はすんなり出たよ」


レンズの向こうで、妻もまた微笑んでいるだろう。

「あなたの全てを愛している」

少なくとも、これを実現している人を私は周囲に見たことがない。

あなたの全て。そう、その排泄物までもが愛おしい。

これを究極の愛と言わずして、何を愛と言うのだろうか。


※勝手な妄想です。私はそういう趣味の人間ではありません。

 もちろんそういった趣味の方を非難することもありません。

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