プロローグその3~カオスと彼と~
「VR機が五つしか手に入らなかった…
しかも、これを見てくれ…!」
竜牙が暗い顔で円卓に載せた縦横50センチメートルほどのボール紙に包まれたそれは…
表面に目立つ蛍光色で「VR機」と書かれ、本体の写真がプリントされていた。
『はっ……?』
そこにプリントされていた本体の形状は、一言で言って「フルフェイスヘルメット形」だったのだが…
「お…おいっ…!な…なんだそれは?
女性用じゃねえかああああー…!!」
由馬の絶叫が部室内に木霊する
それもあたりまえであろう…
なにせプリントされた写真の本体カラーは「ピンク」…
その上女性用らしく左側頭部にはオレンジに輝く大きいリボンと、いたるところに飾られた赤いハートマークがよりキュートさをアピールしているのだから
「その…考えは……無かった…わ!」
洸がぼそりとつぶやく。
「が、がはははは?」
いつも元気な力でさえ今はどこかその笑いがぎこちなく見える。
「すまんっ!ほんっっとーにすまんっ!!」
土下座せんばかりの勢いで頭を下げる竜牙
「個数はしかたないにせよ…さすがにこれはないと俺も思ったんだ。
だが、どんなにショップ店員に話をしても今ある在庫はこれだけで、入荷は一ヶ月後になるって言われて…
すまんっ!にんな!!」
「ま、まあ頭を上げろよ竜牙!」
「そうだぜ、おまえもがんばってくれたんだろう?それに、レディースモデルだろうが使えねえわけじゃないしよ?」
見かねた俺と隼人がフォローを入れる。
「そ…そうだ…な?VR空間に…ダイブしてしまえば…機器の…外見なんて…関係…無いっ!」
珍しく洸が長文をしゃべった。
それだけ竜が野姿が哀れに見えたのだろう。
「がっははははは!そうだっ!洸の言う通りだっ!」
力もいつもの調子を取り戻したようだ。
「それより俺あ…個数が足りないってことの法が気になるがな?」
隼人がつぶやいた言葉にみんなが(あ!そ…そうだった!!)と思ったのは言うまでも無いだろう。
「それは…俺以外のみんなで使っt」
「ちょっと失礼しますよ?」
竜牙があきらめてなにかを言おうとしたところに彼(神)は我が部室に降臨した。
『恭さん?!』
そう、彼(神)こと恭さん(本名道草恭一郎)が現脳研の部室へ現れたのだった。
そのてに皆の希望と混沌を乗せて…
新キャラ恭さん登場です