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ゆたかの怪奇列島第一章「地下深くからの憎しみ」  作者: こうた


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第一章「地下深くからの憎しみ」 第15話「掘り起こされたもの」

夜明け前——

空がわずかに白み始める時間。

だが、この村には朝は来ていなかった。

ゆたかとまさきは、問題の地点に立っていた。

足元には、湿った土。

その下に、“核”がある。

コン……コン……

音はもうすぐそこだ。

「……いくぞ」

ゆたかの一言で、まさきが小さく頷く。

重機は使えない。

霊的な反発が強すぎる。

二人はスコップを手に取り、手作業で掘り始めた。

——ザクッ

——ザクッ

土は異様に柔らかい。

まるで、何度も掘り返されてきたかのように。

掘り進めるほどに、空気が重くなる。

呼吸が浅くなり、体温が奪われていく。

まさきが低く言う。

「…来るぞ」

その瞬間——

コン!!!!

地面が爆発するように弾けた。

黒い霧が一気に噴き上がり、二人を吹き飛ばす。

「ぐっ…!」

ゆたかは地面に叩きつけられながらも、すぐに体勢を立て直す。

掘り起こされた穴の中。

そこに——

“それ”はあった。

人の形をしている。

だが、腐敗し、土にまみれ、骨と肉が混ざり合っている。

目はなく、口だけが裂けるように開いていた。

そして——

「……やっと…出られた……」

低く、湿った声。

ゆたかの背筋に、冷たいものが走る。

「……これが、本体か」

まさきも息を呑む。

「怨霊の核…間違いない」

その瞬間——

黒い霧が一気に“本体”へと集まる。

村中に散っていた霧が、

すべてこの場所に戻ってくる。

子どもたちを苦しめていたものも、

作業員を襲っていたものも、

すべてが、この“本体”に吸収されていく。

コン……コン……

音が止まる。

代わりに——

ドクン

心臓の鼓動のような音が響き始めた。

「……まずい…完全に統合する」まさきが叫ぶ。

ゆたかは歯を食いしばる。

「止めるしかない!」

二人は同時に動く。

ゆたかは蹴りを叩き込み、

まさきは呪符を叩きつける。

しかし——

本体は、ゆっくりと腕を上げた。

それだけで、二人の体が吹き飛ぶ。

「なっ…!?」

圧倒的な力。

さっきまでとは、次元が違う。

本体の口が、ゆっくり開く。

「……殺された……苦しい……許さない……」

声は低く、重く、

そしてどこかに——

別の意志が混ざっている。

まさきが顔を歪める。

「これ…怨霊だけじゃない…」

ゆたかも気づく。

——この力は、

——神鬼丸のものだ。

その時だった。

本体の背後に、黒い影が立ち上がる。

完全な姿ではない。

だが、明らかに“別の存在”。

「……よくやった」

低く響く声。

「その憎しみ、我が力となれ」

ゆたかの目が見開かれる。

「……神鬼丸…!」

影は笑った。

「人の怨みは、美しい……」

その瞬間——

本体の体が、さらに膨れ上がる。

黒い霧が凝縮し、

巨大な異形の存在へと変わっていく。

地面が割れ、空気が歪む。

村全体が震える。

まさきが叫ぶ。

「ゆたか!これ…もう止めないと村が終わる!」

ゆたかはゆっくり立ち上がる。

呼吸を整え、拳を握る。

「……ここで終わらせる」

だが目の前にいるのは、

怨霊 + 黒幕の力が融合した存在。

——完全覚醒した“敵”だった。

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