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ゆたかの怪奇列島第一章「地下深くからの憎しみ」  作者: こうた


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第一章「地下深くからの憎しみ」 第14話「封じられた真実」

夜明け前——

最も闇が濃くなる時間。

奈良の村は、完全に黒い気配に覆われていた。

ゆたかとまさきは、息を切らしながら現場の端に身を寄せていた。

さきほどの戦いで、明らかに分かったことがある。

——普通の方法では勝てない。

「…あの力、異常すぎる」ゆたかが低く言う。

「怨霊単体じゃない…絶対に“核”がある」

まさきは頷く。

「地下のどこかに、力の源があるはずだ」

その時だった。

——カタッ

背後で、小さな音。

振り向くと、誰もいないはずの現場に、古びた提灯がひとつ揺れていた。

風はないのに、ゆらゆらと不自然に揺れている。

「…なんだ、あれ」

ゆたかが近づくと、提灯の中に、ぼんやりと人の顔のような影が浮かび上がる。

「……来い……」

低く、かすれた声。

まさきが即座に警戒する。

「罠の可能性もある」

だがゆたかは、目を細める。

「…いや、違う。これは“誘導”だ」

二人は提灯に導かれるように、現場の奥——

まだ掘削されていない、古い地層の場所へと進んだ。

足元の土は異様に柔らかく、湿っている。

まるで、何度も掘り返され、隠されてきた場所のように。

コン……コン……

音が、すぐ真下から聞こえる。

ゆたかは膝をつき、地面に手を当てる。

その瞬間——

ビジョンが流れ込んできた。

——昭和の村。

男が数人に囲まれている。

「金はどうした!」

「返せ言うとるやろ!」

男は笑っている。

酒に酔い、まともに立てていない。

「知らんわ…勝手にしろや…」

次の瞬間——

鈍い音。

殴られ、蹴られ、

男は地面に叩きつけられる。

そして——

「埋めとけ」

まだ息のあるまま、土をかけられていく。

男の目が、ゆたかを“見た”。

「……許さない……」

ゆたかは思わず手を離し、荒く息を吐いた。

「……ここだ」

まさきも地面を見つめる。

「間違いない。この下に本体がある」

その時、提灯の火が一瞬強く揺れ、声が響いた。

「……まだ終わりではない……」

ゆたかは顔を上げる。

「誰だ?」

返事はない。

だが、気配だけが残る。

まさきが低く言う。

「…今の、あの怨霊じゃない」

ゆたかも同意する。

——もっと古い

——もっと強い

黒幕・神鬼丸とは別の“何か”が、この場所に関わっている可能性。

その瞬間——

コン!!!!

地面が激しく震えた。

今までとは比べ物にならない衝撃。

黒い霧が一気に噴き上がる。

「見つけたか……」

低く、重い声。

今までよりもはっきりとした、黒幕・神鬼丸の意志。

地面の下から、巨大な圧力が押し上げてくる。

「そこに…我が糧がある…」

ゆたかは歯を食いしばる。

「……やっぱりここが核だ」

まさきも刀を構える。

「ここを断てば、全部終わる」

だが同時に——

地面の奥から、無数の気配が蠢く。

一体ではない。

いくつもの怨念が、この場所に集められている。

ゆたかは静かに構える。

「……掘るぞ」

それは、

封じられていた地獄の蓋を開ける決断だった。

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