古本屋にて
軋んだドアを開けた。
店に入った途端切れかけた薄暗い蛍光灯の光と共にふわっと古びた紙の香りを感じた。どこか懐かしいようなそんな香りだ。
「こんばんは!今少し良いですか?」
僕はカウンターに近づいて、座っている店長さんらしき人に聞いた。
「あぁ、どうしたんだい?」
老店長さんが顔を上げて少ししゃがれた声で言った。
「おじいさん、僕たち今この「市長横領疑惑」の手がかりを追ってるんですけど、市長やサーカスについて何か知ってる事とか協力してくれる人は知りませんか?」
僕はダメ元で新聞を見せながら尋ねた。正直当てになんかしてない。どうせまた知らないとか言われると思っていた。
「…横領とかサーカスとやらは知らんが、困り事なら協力してくれる者にあてがある。この辺りで何でも屋をしているらしいんだが、会うのはそう簡単ではなくてなあ」
カウンターで老店長が手帳をゆっくりとペラペラめくりながら言う。
店内には老店長が紙を捲る音だけが鳴り響いている。
——少しの沈黙の後
老店長の目が僅かに見開いた。
「君たち運がいいぞ。その何でも屋なんだが、今夜予約していた本を取りに来ることになっている。…待っていくか?」
片目でルーペを覗きながら言った。
ヴェリテと顔を見合わせた。
賭けるしか無い。少しでも可能性のある道を探そう。
それでいて僕達は本当に運が良い、何でも屋をやっているという人に会えるんだ!
「本当ですか!?あ…でも、僕達そんなにお金に余裕ないです…」
束の間の喜びだった。
何でも屋って言うくらいだからきっと膨大な費用がかかるんだろうな…
「…君ら金がないようだが、わしの目によるとあの何でも屋はそこまで金に執着しているようには見えん、物腰も柔らかい、話だけでもしてみたらどうだ?」
と老店長はルーペをカウンターの下に仕舞いながら言った。
「そうなんですか?じゃあ相談だけしてみようかな…。その何でも屋さん待ってみます!」
店長さんにお礼を言って僕らは店内で何でも屋とやらを待たせてもらうことにした。




