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路地裏の調査

沈黙を薙ぎ払ったのはヴェリテだった。


「え、でも路地裏って危ないんじゃないの?」

僕はヴェリテの口から出た意外な言葉に驚いた

まさか彼が自分から危険に踏み込みに行こうとするなんてとても思わなかったから。


「確かに危ないかも知れないが、まだ17時だ。あの辺りの治安が悪化するのは大体21時頃からのはずだ。時間に余裕はあるし、ジュールさんの言うことも一理ある。行ってみる価値はあると思うんだが」

ベンチに座ったヴェリテが前を向いたまま目を合わせずに言った。


「それもそうか。じゃあ今から行ってみようよ!もしかしたらサーカスについて知ってる人もいるかもしれない」

孤児院の門限は18時だけど、まあ、最悪の場合裏から入ればいっか。バレたらクレア先生にこっぴどく叱られそうだけど…

さすがに遅くなりすぎたら反省文コースだから急がないとな。


そうして僕達は人気のない路地に潜入することになった。


「路地裏ってこの辺?今にも事件が起こりそうだよ。怪しい雰囲気がぷんぷんしてる!」

僕は虫眼鏡を取り出して目を細めながら言った。


実際、今にも悲鳴が聞こえてきそうなほど淀んだ空気が流れていた。微かにアルコールのような匂いが鼻をつんざく。まだ夕暮れのはずなのにここの路地裏はやけに薄暗い。


「…治安が悪くなる前に調査終わらせるぞ」

ヴェリテが静かな声で言った。彼の目は真剣で、どこか警戒しているような様子が感じられた。


路地裏はシャッターが閉まっている店が多く殺伐としていた。道には缶や袋が落ちている。その様子はどこか退廃的で物悲しさを感じさせた。

 

辺りを探索しているうちに、だんだんと日が暮れてきて、さっきまではっきりとしていた僕達の影もぼんやりと薄くなってきている。

暗い路地を見渡しているとその中からゆらりと灯りが見えた。


「あの辺に灯りがあるよ!なんかのお店かも。行ってみよう!」

僕はヴェリテを連れて意気揚々と灯りの方に向かった。


「ここは、本屋か…?」

ヴェリテが店の外装を上へ下へまじまじと見ながら言った。僕とヴェリテは本屋の無機質な灯りに照らされる。


随分と古びた本屋だ。看板は傾きかけてるし、壁も黒ずんでる。一体、築何十年なんだろう。でも少し懐かしさを感じる。


僕は息を呑んで本屋のドアに手をかけた。ひんやりと金属の温度を感じる。

「すみません、誰かいますか?」

僕はドアを軋ませながら言った。

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