事件との再会
「これ…お父さんの事件だ」
僕は震える声で言った。衝撃が僕の頭を殴って暗闇を真っ逆さまで落下し続けているような感覚だ。
「なんだと?」
と険しい表情でヴェリテが言う。その声色は落ち着いていた。だが少し信じられないというような表情をしていた。
…3年前父は市長の横領疑惑の調査中に姿を消した。父の私記は市長の情報で止まっている。調査中に何か事件に巻き込まれたに違いないと思う。だとしたら今もどこかで捕まってるかもしれない。
「…これ見てよ、この記事」と僕は「市長横領疑惑」の新聞記事をヴェリテに見せつけて言った。
「10年前の…行方不明事件…?」
ヴェリテが首を傾げて言った。
何を言ってるんだ。どうやらヴェリテは見る記事を間違えてるみたいだ。確かにこの記事はでかでかと新聞の一面を占領しているから無理もない。
「違う違う!その下!市長の横領疑惑のところ!」
僕はすかさず指差して言った。
「あぁ、これか」
ヴェリテはほんの一瞬戸惑った様子を見せたが、記事を見つけたらしくじっと読み込んでいた。
「…確かにお父さんはこの10年前の行方不明事件も調査してたらしいんだけど、全然手掛かりが掴めなくてお手上げだったらしいよ。神隠しとか言われてるらしい」
—父の私記にはそう記してあった。一体どんな物だったのか気にはなるけど。
横領疑惑に話を戻す。
「どうやらこの記事によると、市長が支出金の金額を間違えたから疑惑がかかってるらしい」
この記事が間違っていなければ市長は少なくとも3年間横領を続けていたことになる。
「確かに3億円も間違えてるとなると怪しくなってくるな。ミスだけでは済まされない額だ」
ヴェリテがシャルルに新聞を返して言った。
「この新聞の記事はそんなに大した情報ではないけど横領疑惑は元々お父さんが調べてた件だから真っ黒だと思う」
僕は手帳にメモをしながら言った。
「だからこの件を調べるなら今だよ!世間の注目が集まってるうちに早く証拠探しに行こう!」
そうして僕たちは市長の横領疑惑について調査を始めた。




