棍
魔力を動かすのは想像よりもキツい。精神がゴリゴリ削れるような感じがする。
最初の頃は硬いゴムのように動かしてもすぐに元に戻ろうとする。何週間もかけて徐々に柔らかくなるが、体のラインを綺麗になぞりながら一周させるのは苦行であった。そこから一廻を身につけるには廻すスピードも大事になってくるのである。
「本当に2ヶ月でやるとはなぁ…」
「え?」
「いやー、2ヶ月って言ってたが、あれは最短の話なんだよ。死に物狂いで習得させて2ヶ月って話で基本的にはあり得ないな。」
若干私に引いている師匠を見て怒りがわいてくる。
2ヶ月でなるのが当たり前かのような発言をしてこの言いよう。
まぁ、裏を返せばそれだけ凄い事を成し遂げたんだ。そうポジティブに捉える。
この2ヶ月間は「身体強化」だけに注力していたわけでは無い。
釣りの魚や木の実で食料探しから解放された私は自由時間が多くなった訳で、有効活用しないのは損である。
私は戦い方を教わった。
師匠は近くにあった木から枝を落とし、ナイフで削っていく。そうしてできた凹凸の無い加工された棒を手渡される。
「坊主の武器は棍だ。」
手渡された物をマジマジと見て、師匠に問う。
「これは棒ですよね。」
「棍だ。」
押し問答を繰り返すが埒が明かない。
渋々納得するが今度は別の疑問が沸いてきた。
「これ武器になるんですか?」
確かに師匠は棒でオークを殺しただろうが、私には到底無理な芸当だ。
もう少し役に立つような事を教わりたい。
「ふむ、お前の想像する武器とはなんだ?」
「剣、槍…」
「スラムでそれを持った姿を想像しろ。」
餓鬼がいっちょ前に武器を持つ。当然盗まれる。
考えが浅かったか。
私が顔をしかめると師匠は諭すように話す。
「棒なんか持っていても別に何も思われないだろ。もう少し考えた方がいいぞ。」
「棒って認めましたね?」
師匠は黙ってしまった。
今日はもう一つ上げます




