「身体強化」
早朝、森の入り口で師匠を待つ。
そこまで早く行く必要は無いが、師匠を待たせるわけにはいかないし、他の人に見られないようにする必要がある。
特にスラムの連中はすぐに難癖をつけてくる。
2時間後、いつものようにふらっと現れた師匠の後を追い森へ入る。
湖に着くまでは師匠のたわいの無い話を聞き漏らさない。
野菜が高いだの、中央の役人は愛想が無いなど何気ない話は私にとって新鮮である。
湖に着き、釣りを始めると私の質問タイムが始まる。
あの日以降、様々な事を聞いた。
あの技はなにか?
魔力とは?
技については理解できない答えばかりだったが、魔力のことは大分分かってきた。
「魔力も感知できたので「身体強化」についても教えてください。」
魔力感知とは文字通り自身の体内にある魔力を感知する事である。
最初は半信半疑であったが、確かに心臓付近に違和感があり必死に身につけた。
「身体強化」は魔力について聞いたとき、師匠がこぼした言葉である。
言葉通り身体を強化するとなれば、今後生き抜く上で重要になるに違いない。
「魔力を身体に沿うように廻すんだ。廻すごとに一廻、二廻と数えていく。」
「どのぐらい強くなるですか?」
「一廻ごとに強化倍率20%程度。兵士や狩人なら三廻もあれば人目置かれるし、五廻超えたら精鋭や熟練の域に入るな。」
20%と聞くと大したことなさそうだが、五廻で2倍も強化されると考えると驚愕である。
「師匠は?」
「秘密だ。だが、七廻は超えるとだげ言っておこう。」
7?!
目の前で胸を張り自慢する師匠は化け物であった。
精鋭でも五廻なら師匠って…
いや考えないようにしよう。嫌な予感をひしひしと感じる。
「まぁ、最初は魔力を動かし、ゆっくりでもいいから身体を一周させる。これを続けていれば2ヶ月で一廻にはなれるだろう。」
幸い時間なら沢山ある。
「身体強化」という明確な目標ができた私は、早速魔力を動かし始めた。




