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王国、万歳!!

広場の張り紙を見に行くと他の人も気になるのか、随分と賑やかであった。

人の間を縫うように避け、張り紙の前に立つ。

日時、集合場所、所持品、そして希望資格者の欄。

祈るように確認する。


・王国へ忠誠を誓う者

・男である者

・健康である者

・罪人では無い者

・10歳から50歳までの者


よしっ!

心の中で大きくガッツポーズをする。

幸い私はすべてクリアしていた。

王国に忠誠なんてものはないけど口先だけでどうにかなる。



「問題無さそう…」


指さし確認で細かくチェックするが、問題ないように思える。

小さな文字にも法外な事は書いていないため一安心する。

すると、後ろから声が聞こえた。


「坊主!文字が読めるなら声に出してくれ。」


スラムは識字率が悪いことを失念していた。

あからさまに読めるような行動をしてしまった自分のうかつさを恥じる。

仕方ないとばかり私が読んでいない部分を朗読する。


「報酬は…徴用中の食事、生活雑貨。そして活躍に応じた待遇と金銭を与えると。」


私が読み終わるや否や、周囲から動揺が聞こえてくる。

書かれていることは随分とまともだが、スラムの住人には衝撃的な内容だろう。


動揺の声は徐々に王国の賛美に変わっていった。王国は凄いだの、打倒連合国と王国へのおべっかを口にし始める。

王国に悪態をいつもついていた酔っ払いも、先日兵士と揉めていた男も口々に褒め称え、私は薄ら寒い物を覚えた。


「王国万歳、万歳!、、万歳!!」


次第にはみんなで万歳三唱をする始末。読み上げ、矢面に立っていたせいか私も一緒になって参加する。

周囲の赤の他人と肩を組み、一緒になって万歳三唱をする。


左の男を見る。

なんとも不快な匂いを巻き散らかすこの男をよく見れば、目が完全にいかれている。

恐らくは薬物の匂い。

うわごとのように万歳と繰り返し、千鳥足で奇怪な踊りを踊っている。


右の男を見る。

こちらはまともそうに見えるが、顔が酷い。

半分は焼きただれて、よく見ると右目が空っぽである。

これは健康では無いのでは?

そう思ってしまうが、この男の屈託の無い笑みを見れば全てがどうでもよく思える。


異様な熱に踊らされているのは分かっているが、こうも他人を疑わず肩を組み笑えるのはいつぶりだろう。

悪くない――そう私は思うのだった。


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