3.神と対決!(?)
「笹山!」
「うおうっ」
目を覚ますと、屋上のようだった。
「笹山お前…屋上に行くなっつったのに…」
日比谷はどすっと座ってじろりとこっちを見る。
「あんた、自称神のこととか、全部知ってたわけ?」
私は身を乗り出して日比谷に近づく。
日比谷はしばらく沈黙していた。
「話したくないなら、別にいいけどさ」
正直これ以上意味わかんないこと言われても頭がおかしくなるし。
「…………笹山、俺は神のことを知っていた。今日神の部屋がここになることも。それに伴う危険性も。」
いつになく神妙な顔をしている日比谷を見て、私はたじろぐ。
「危険性、って?」
またしばらくの沈黙が訪れた。
「入ったものは…」
私はごくりと唾を飲み込む。
「神に気まぐれで殺される」
「え…」
私はあの血まみれの〈道具〉を思い出す。
「じゃあ私はなんで…」
「君面白いんだもん♡」
「ぎゃああああ!」
急に背後から声がして振り返ると、神がいた。
咄嗟のことで私は肘で神の顔を打った。
「あははは!君やっぱ強いね」
「な、なんでいるのよ」
「言ったじゃん?きみについて行くって」
神が私の手をとったかと思うと、手の甲にキスをした。
「放せよ」
日比谷が私と神の間に立って神を睨みつける。
「あれっ!守くんじゃーん!なんでいるの?」
「どうでもいいだろ。とりあえず帰ってくれ」
「その言い方はないと思うんだけどー?
守くん♡」
な、なんか親しげ?なんで?
「こいつ野放しにするとそこらへんの草でも食べそうだからよ!俺が見張っててやってんだよ」
「はあー!?なにそれ!?私はさるかっつーの!」
「うるせ!とにかく神が見張る必要はねえから、お引き取り願いたい」
日比谷は神にニコッと笑って敵意100%の言い方で言った。
「つれないなあ守くんてば。」
瞬間、神の手が少し動いたかと思うと、
日比谷が吹っ飛んだ。
上に。
「日比谷ー!!!」
「守るくーん。どーする?俺がいてもいいっていうなら解放してあげる。それでも無理だっていうのなら殺してあげる。」
神が表情一つ変えずに言うので、思わずゾッとした。
やばい。日比谷の性格上無理って言うだろうし、助ける方法なにか考えないと…
「俺はぜってー認めねえ!」
「アウトー♡」
日比谷が上からすごい勢いで落下してきた。このままだと床に打ちつけられて死ぬじゃん!
私は咄嗟に日比谷の下で受け止める体勢をつくった。
「こーーい!!日比谷!!」
「バカお前何やってんだーーー!!」
「あはははははは」
神が爆笑したかと思うと、ピタリと日比谷の動きが止まる。
そしてゆっくりと床に落ち、日比谷は無事に帰ってきた。
「こっわかったーーーー」
私が震えながらそういうと、
「こっちのセリフだバカ!あそこで飛び込んでくる奴がいるか!」
日比谷が今までにないくらい怒ってきた。
私は圧倒され、
「ごめん…」
と言ってしまった。
「やっぱ君面白いなあ。こんなに笑ったの久々だよー」
神が笑ってでてきた涙を拭うと、
私の髪に触れようとしてきた。
『バシッ』
日比谷が神の手を払い除ける。
「触んじゃねえよ」
「……心狭すぎない?あーもーめんどくさいなあ」
神はすくっと立ち上がり、
「また来るね」
ニコッと私に笑いかけて、消えてしまった。
「何だったんだろ…ほんと」
情報量多すぎてついていけない。
日比谷を見ると、難しい顔をして悩んでいる。
「……日比谷。」
「なんだよ」
「私が絶対、日比谷のこと守るかんな。」
私はキリッとカッコつけて言った。
「……アホ。」
気づけば西日が差し込んで、もう日が暮れそうだ。
「またね、日比谷。なんかあったら言って。」
「そっちもな。」
私は急いでカバンをもち、屋上を後にした。
「……守るなんて、こっちのセリフだっつの。」
日比谷守は顔を赤らめて、誰にも聞こえない声でそう言った。
触んじゃねえよ!で10回くらい左腕じゃねえよ!がでてきて笑ってしまった。
次回もお楽しみに〜