2.やってらんねー!!
『せーので点数見せ合うぞ!』
『いーわよ』
見慣れない教室の中で、2人の男女が楽しそうに笑いあっている。
『せーのっ』
おお!2人とも高得点。けど女の子の方が上だ。
『くそーこれで8回目だお前に負けるの』
『まだまだだねー』
なんだろ、やっぱりどっかで見たことあるなこれ…
はっと目を覚ますと、見知らぬ天井。
体を起こすと、見る限り真っ白な景色が広がっていた。
「いやなにここ…」
「ここは俺の部屋だよ〜♡」
「うわっ!!」
いつの間にか近くに人がいてびっくりした。
金髪でサファイア色の目をしたすごい美しい男の人だ。
「だ、誰ですか?」
「俺?俺は…………神かな」
「は?」
すました顔で言うので思わず笑うところだった。
「ふはっ、そんな風な態度とられんの久々」
「ってか、ここあなたの部屋って言ってましたけど…まさか、誘拐?」
「……そーくるか…まあゆっくり話そうよ」
じりじりと神(?)が近づいてくる。
不審者に襲われそうになったときは、えーっと…
腹を肘でうつ!
『ドゴッ』
「ぐえっ」
神が痛そうにお腹をさする。
「ちょっと可哀想だけど、ばいばい!自称神様!」
「ちょっ、君…」
なんかいいかけてたけどとりあえず逃げよう。
私はただただ白い景色を走り続けた。
1時間後も走り続けていた。
3時間後も走り続けていた。
5時間後も走り続けていた。
7時間後も走り続けていた。
10時間後も走り続けていた。
「いや、やってらんねー!!何これ!どゆこと!?」
「言ったでしょ?俺の部屋だって。」
バッと上を見ると、神がふよふよと浮いていた。
「俺の部屋は無限なの。だからいくら走っても無駄ってこと。おーけー?」
「そ、そんな…」
私はガックリと肩を落とす。
「一旦座って?」
私は疲れがでて大人しく神の指示に従った。
「それで、なんで君はこんなところにいるの?」
「私が聞きたいですよ…ただ屋上に来ただけなのに…」
っていうかこの人が連れ去ったわけではないのか、とじろっと見た。
「急に来て困ってるのはこっちなんだよー?まあ君女の子だから許すけど♡」
神は顔を近づけてそう言った。
こんなチャラい神がいてたまるか。
「ってかもし神の部屋がここならなんで学校の屋上にされてるんですか?」
「んー高校の屋上ってさ…ロマンあるじゃん?」
「え?」
「屋上で恋人とご飯食べたり、友達と殴りあったり。そーゆう思いが詰まってるから居心地いいんだよねー」
神はゴロリと寝転ぶ。
「その口ぶりだと、ずっとここにいますよね。ショートのなつきっていう女の子居ませんでしたか?」
一刻も早くなつきの無事を確認したい。
「ショートの子…………ああ!あの子か!」
「知ってますか?」
「うん!待ってて!今連れてくる!」
神がすごい速さで立ち上がって走り去っていく。
良かった、なつき無事だったんだ………
ひとまず安心した。
「お待たせ!」
神の声が聞こえたので見ると、そこにはーーーー。
「えっ?」
目が飛び出て眼球の形がくっきりと分かる。
手首、足首が折れ曲がっている。
関節が外れている。
下半身と上半身が今にも分裂なくらい腰が引きちぎられている。
「なんですか?はは、ドッキリなんて趣味悪いですよ。ははは」
私は笑いながら、少し手を震わせながらそう言った。
「ん?君が言ったんじゃない、なつきちゃんを連れてこい、って」
神が何を言っているか、分からない。
「なつきなんてどこにいるんですか?もう、間違いすぎですよ」
「君面白いなあ。この子がなつきだってば。」
いやだ、いやだ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
「そんなわけ、ないじゃん」
落ち着け、私。動揺させて隙をつく作戦かも。
だから、信じるな。
「ここまで言っても信じないなんて君すごいなあ」
「当然でしょ?なつきが無惨に死んでいる、なんて簡単に信じられるわけないじゃない。」
私は気分が悪くなり、目の前の水をグイッと飲んだ。
「ふふ、ごめんね。さっきの、冗談だよ?」
「ど、どこから…?」
なつきのことであってほしい。
「屋上に、なつきって子が来たってこと。これはただのお化け屋敷用の道具さ。」
ヘラヘラと笑って神は道具を投げ捨てた。
「あんたね…言っていい冗談とダメな冗談の区別もつかないわけ?」
私は顔を赤くして神を睨みつける。
「君は表情がコロコロ変わって楽しいなあ」
突然神の顔が近づいたかと思うと、ほっぺにキスをされた。
「な、なにすんのよ!」
「かーわいい!ちょっとした挨拶なのに!」
こいつ…
「なつきがいないなら帰してくんない?」
私は神から距離をとり、いつでも逃げれるように体を横に向ける。
「………嫌かなあ」
「なんで?」
「君が帰ったら俺暇になるじゃん?」
神は寂しそうに、いや、寂しそうなふりをして言った。
「知らないわよあんたの事情なんて。私を巻き込まないで?」
私が強く突き放すと、神はますます嬉しそうな顔をした。
「んー分かった。君について行っていいなら君を帰すよ。」
「ついて行くって…どこに?」
「トイレ♡」
私は思い切り神の顔目掛けてパンチをくらわした。
まあ、ビクともしないけど。
「もー嘘なのに。半分本気だったけど。」
「はーやーくーもーどーせー」
私が詰め寄ると神は顔を赤らめて、
「わ、分かったよもー」
と右手をふりかざした。
そして一瞬のうちに眩い光が私たちを包み込み、眠りに落ちた。