第31話【遭難者が神拳 一子相伝を使ってみた:超激震の章】
GM視点
「アタタタタタタタタタタタタタァァァ!!アーーーーーーーッタッ!!!」
荒れ狂う風圧が地面をえぐる。
GMは空中で回転しながら、爆音の如き“神拳”の突きを秒速300連打で繰り出していた。指先からは雷光のような気の波動がほとばしり、視界は白く焼き尽くされる。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!そこッ!ここッ!急所ッッ!!」
「無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄ッ!!」
「お前たちは……もう死んでいるかもしれない……!」
超絶ドヤ顔。地響きを伴って着地。背後で爆発する数十体のモンスター。だが――
「……え?まだいる?」
モンスターたちは、倒れてはすぐ再生し、倍の数で湧いてくる。
むしろ先ほどよりもテンション高めにギラついている。
「なんでやねぇぇぇん!!」
怒りの咆哮を上げながら、GMは今度は**“神拳奥義・天空天雷破突”**を発動。指先が稲妻を帯び、空を割って巨大な龍の形を成す。
「喰らえ!我が一生に悔いのない事など無い!」
――だがその瞬間、空が割れた。まるで次元の狭間から、影がひとつ降りてくる。
ベルゼバブ視点
「うわー、ヤバい音してる~!音だけでワクワクしちゃう系だ~♪」
縦穴の端から、身を乗り出すベルゼバブ。その瞳は好奇心と狂気の色に染まっている。
赤黒いマントが空に舞い、重力を無視するようにスーッと滑空する。
「地面でギャーギャー暴れてる人発見!……あれがウワサの冒険者さんかなぁ?」
そして、まるで天上の処刑人のように、彼女はふわりと着地。足音すらしない。
「ねぇねぇ?シンディールがさ~、来たら即ぶちのめせって言ってたんだよね~」
「ん~、じゃあ、まずは……」
――「挨拶代わりのビンタだよ☆」
空気が震える。ベルゼバブの手がゆっくりと振り下ろされると同時に、空間がへこむ。大地がうねり、時が歪む。
だが――GMは全く動かない。髪一筋すら揺れていない。
「……あれ?反応なし?これで死なないの~?逆にスゴくない?」
表情が変わる。驚愕から、興奮。そして……悦楽。
「やっっっっっっっっっっば!!なにこれ!?タフすぎでしょ!!」
「こんなに硬いの、何百年ぶり?ねぇねぇ、もう一発いいかな?いいよね?いっくよ~~~~~!!」
次の瞬間、ベルゼバブは宙を舞い、回転しながら落下蹴りを放つ。
重力10倍フィールドを自らに課し、加速する一撃はまさに超重質量・断空蹴。地面が割れ、次元がきしむ。
交錯の瞬間:神拳 VS 魔王
GMは一歩も退かず、拳を構える。
「ふむ……久しぶりに心が燃えてきたな。ならば俺も、本気を出さざるを得まい」
周囲の空気が止まる。拳が握られるだけで、周囲のモンスターが泡のように崩れる。
「行くぞ。これは一子相伝の、真なる姿……“神拳・無限乱掌葬”!!」
視界が真っ白に染まり、拳と蹴りが空間を裂きながら交錯する。
次元が捻じれ、時間が跳ね、現実が歪む。
それでも、二人の戦いは止まらない。




