第2話:再ログインとステータス異常
……目を覚ました時、視界に映っていたのは懐かしいログイン画面だった。
青白く輝く空間に、かつて何百時間も眺めたインターフェースが広がっている。
《WORLD:SYNKROSS -Global Dimension Connect Edition-》
接続人数:18,230,472人(全世界共通サーバー)
「……本当に、戻ってきたのか」
子供の頃、毎日のように入り浸っていたVRMMORPG《SYNKROSS》――
宿題もここで片付け、試験前には仮想空間で自習室に篭もったこともある。
学校よりも“本気で生きていた場所”。
レベルキャップが230だった当時、俺は限界までやり込んでいた。
そして、今。
当時の記憶と感覚が確かにここにある。
「でも……カンスト目前でやめたはずだ。俺のキャラ、今は……」
恐る恐る、ステータスウィンドウを開く。
【ステータスウィンドウ - CHARACTER: オーマエハ・モー・シンディール】
レベル:1(?)
HP:95 / 95
MP:650 / 650
STR(筋力):18
VIT(耐久):20
DEX(敏捷):17
INT(知力):122
MND(精神):139
AGI(敏捷性):21
LUC(運):999(※表示限界値)
■ 所属ジョブ:N/A
■ 所持スキル:《???》《???》《サブディメンジョン・コネクト(封印中)》
■ 特記事項:運営AIの監視対象/ログ解析不能
「レベル1……? あの俺が? この“俺”が?」
戸惑いはあった。だが、それ以上に目を引いたのは一つの数値。
LUC(運):999(表示限界)
「……運、カンストしてるじゃねぇか」
見覚えがある。かつての最大値は120。
装備やスキル、称号を駆使しても150前後が人類の限界だった。
これは異常だ。明らかに「設計外」の存在としてゲームにログインしている。
「そうか……“俺”がプレイヤーじゃないのか。
この世界の“外”から、ログインしてしまった存在――」