第19話「神業鍛冶と魔界の鉱石、そして一式装備の詩(うた)」
マンドラゴラ畑の裏手、
木造の小屋が数日で石造りに変わり、今や鍛冶炉が鳴り響く。
地面には彫刻。天井には魔法陣。
\*\*異世界、現世、ゲームの知識を融合した――“錬装工房シンディール”\*\*が、完成していた。
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「……市販の防具なんて、味気ないだろ?」
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#### 【素材:下位悪魔が持ち帰った魔界鉱石】
* 黒曜魔鉱(インクラが所持)
* 漆黒石英(ノクスが所持)
* 熔魔の鋼、霊気精銀など
高密度・高属性付与能力を持つ素材ばかりで、
通常の鍛冶NPCなら加工不能な代物だ。
だがシンディールは、**錬金術+鍛冶+付与術+異世界記憶**で、それらをねじ伏せた。
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### 【完成装備:自動展開式戦闘支援装備セット】
#### ■《自動展開型:戒環シリーズ》
* **戒の指輪 -武装展開-**
→ 戦闘開始時、自動で武器が手元に転送され装備される
→ 武器は属性と状況により切り替え(記憶型AI搭載)
* **環の腕輪 -防具展開-**
→ 敵性反応を感知すると、最適防具を召喚・装着
→ 耐性変化・軽量調整・魔法拡散対応
* **識の首飾り -回収の眼-**
→ 半径1キロの戦闘ドロップを識別・自動吸収し、分別保管
→ 貴重品は金庫サブスペースに自動格納
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完成した瞬間、下位悪魔たちは一斉に震える。
「……これはもう、鍛冶ではなく**神工**」
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しかもシンディールは、**部下たちの専用装備**もフルカスタムで作成した。
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### 【使役モンスター用装備例】
* グレイヴ・ダンサー:
→《黒骨双刃+怨霊鎧甲》:死霊と怨念をリンクさせ防御強化&連続斬撃
* シェアリィ:
→《魔草の唄衣》:花弁が浮遊し、回復エリアとデバフ範囲を展開
* インクラ:
→《魔焔核槌》:炎属性を蓄積・拡散する圧縮型メイス
* ノクス:
→《影装束“エクレール”》:完全暗所でステルス+クリティカル2倍
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「……で、試作品が溜まったからさ」
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倉庫に山積みの「使いきれなかった装備」「機能過多で暴走した武器」などを
**ゲーム内オークション**に一斉出品した。
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### 【翌日、世界がざわつく】
> 『新装備“指輪で武器展開”とか何それ!?』
> 『使い捨てじゃない!耐久制でもない!魔法耐性まで自動!?』
> 『製作者名が……【SINDIR\_3】って誰だ!?』
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世界ランカーギルドが注目する中、
異変に気付く者もいた。
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「この装備、**公式の鍛冶上限値を大幅に超えてます**」
「バランス調整されてないのに、バグ報告もなし……」
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だが、運営からの反応は――
> 【異常性検知中。プレイヤー“シンディール”は“運命例外枠”に属します】
> 【手動制限不可/観察継続】
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シンディールは、
既にゲームシステムの根幹に“例外権”として存在していた。
そして彼は次の開発に手をつける。
「よし、次は**変形装備**でも作るか。剣から鞭、鞭から盾。ついでに回復薬内蔵」
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世界の最前線は、今日も彼の工房から始まる。