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異世界のキャリアコンサルタント~今一番のお勧め職業は『魔王』です~(改)  作者: うにおいくら
第10話 黒騎士 女剣士編

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キース登場


「いや、不満ではない。それよりも思った以上に人が来るので驚いているぐらいだ」

長く伸びた顎鬚をさすりながらオーフェンは応えたが、オーフェンの考え事はもっと別のところにあるようだった。


「キース。ここへ」

オーフェンがそう叫ぶと、待ってましたとばかりに目の前にキースが立膝でひざまずいて現れた。


「お呼びでございますか?」


「汝の新しい部下だ。エリザベス共々鍛えるが良い」

オーフェンがそう言うとキースは立ち上がり、イツキに向かって話しかけようとしたその瞬間、

「俺とは違うぞ。こっちだぞ!」

とイツキは前回のキースの対応を踏まえて先に切り出した。


キースは

「な、なんだ?……私が同じ事をする訳がないでしょう」

と言いながら明らかに同じ事をかますつもりでいたようで、案外動揺していた。


 イツキは

「ふん!まあ、よろしく頼むよ。お前の部下にするのにはもったいないけどな」

とキースにアイリスを紹介した。


「私がキースだ。お嬢さん、お初にお目にかかる」

と気を取り直してキースはアイリスに話しかけた。


「は、はい。私はアイリス・ベイリーです。つい最近まで剣士をしてました」


――ああ、今目の前にキース様がいる――


 アイリスは目の前にキースが居るだけで幸せだった。

アイリスの大陸制覇の相手がハウザーではなくオーフェンなら、キースが出てきた時点で自ら喜んでキースに倒されていたであろう。


「おお、それは頼もしい。これからは黒騎士(シュヴァルツリッターとして活躍してくれる事を期待する」

キースはイツキには決して見せる事はない笑顔でアイリスに応えた。


「はい!」

アイリスは元気よく答えた。


それを見て

「エリーといいアイリスといい、一体全体こんな男のどこが良いのかねぇ……ほんと、イケメンは嫌いだわ」

とイツキはため息をついた。


「まあ、私の美しさは神も羨む美しさですからね。そして私は人を育てる天才ですからね……仕方ありますまい。ま、田舎の近衛兵ごときには理解できないでしょうけどね。イツキもいつでも言ってきれくれれば、教えて差し上げましょう」

キースはそんなイツキの気持ちを見透かしたように、更に追い打ちをかけるように見下した。


「遠慮しておくわ。これ以上強くなっても困るからな」

とイツキは吐き捨てるようにキースに言うとオーフェンに

「エリーは元気にやっているか?」

と聞いた。


 それにはキースが

「あの娘は筋が良い。何よりも勘が良い。そして絶対に弱音を吐かない。エリザベスを見る限り、少しは人という愚かな生き物を見直しても良いかと思うほどだ」

と答えた。


「まあ、人を褒めないキースがそういうんだろうから、間違いないんだろうな」

イツキはキースにそう言った。


「会っていかないのか?」

オーフェンが聞いた。


「ああ、会わない。流石に昨日の今日で、会うわけにはいかんだろう」

イツキはそう言ってエリザベスに会わずに帰る事にした。


 本当は今でもすぐに会いたかった。

しかしここで会うのは弱音も吐かずに頑張ろうとしているエリーに、里心を芽生えさせるだけだと思い直した。


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