パーティ選び
「オッケー。いい返事だ。それでは聞くが、そこそこ強い軍団に入るか、それより楽しければ良いっていうパーティに入るかどっちにする?」
「どう違うんですか?」
とヨッシーは聞いた。
「まあ、最初から最強の軍団なんかには絶対に入れないんだが、この潜在レベルなら将来有望株としてそこそこの軍団には紹介ができるよ。ただ、規律が厳しかったり結構ハードな訓練が待っている。でも成長は間違いなく早い。レベルアップは一気に行くだろうね。勿論、高給だわ」
「例えば、ここなんかどう?」
とイツキは1枚の募集要項を見せた。
「剣士募集。LEVEL5以上の方。
主に森林のモンスターを狩ってます。
将来の前衛候補募集!
未経験者歓迎!
高給優遇します。昇給年1賞与年2。モンスターの落とした宝物はとどめを刺した者に授与。
寮完備。交通費全額支給(狩場までの交通費は支給)狩場まで馬車20分・騎馬5分
制服貸与。武器貸与(標準型エクスカリバー)。食事つき。
年末年始休暇あり。
パーティ全滅見舞金有。」
「どう?」
「良いですねえ……武器も貸してもらえるのかぁ……」
「ちなみに、ここは昨年10人入団して8人死んだなあ……」
とイツキはひとりごのとように呟いた。
「え、そうなんですか……」
とヨッシーは絶句した。
「離職率80%だな」
とイツキは答えた。
「いや、それを言うなら致死率でしょう……」
とヨッシーが突っ込んだ。
「まあ、LV5以上と書いておきながら、未経験者歓迎なんて矛盾した事を書くような軍団は人手が足りない案外ヘビーな環境だったりするな」
とイツキは事もなげに語った。
「そんなブラックなとこを紹介しないで下さいよ」
「悪い悪い、じゃあ、かたや和気あいあいのパーティはどう?
この村の近辺を徘徊するだけで、勿論この辺は弱いモンスターしかいないからレベリングも遅い。ただのんびりと出来る……さてどっちが良い?」
と新しい求人票をヨッシーに見せた。
「未経験者も大丈夫!!
狩場は村の近所のみ徒歩圏内。
パート歓迎。週3日以上でOK。主婦歓迎
家族的な雰囲気のパーティです。
三食昼寝付き。
制服貸与。武器貸与(ツヴァイハンダーOR斧ORダガー)
年末年始休暇あり。
長期出来る方歓迎。
「ここは楽そうですね」
「うん。楽だねえ……ほとんどキノコ狩りに来ている爺さんと婆さんの護衛だからね。のんびりしているよ。ま、滅多にモンスターは出ないし。パーティは爺さんと子供が多いな。だから一気のレベリングは諦めた方が良いな」
「それじゃあ、いつまでたっても強くなれないですよね」
「まあね。のんびりと成長するのであれば良いかもね。あ、でも、そう言えば去年結構強いモンスターと出会っていたな」
「え、そうなんですか?」
「うん。その時は油断しまくっていた上に、たまたまパーティーメンバーが現役引いた爺さんと未熟なガキ連中だったからレベルアップする前に全滅していたけど。ちなみにここは全滅見舞金はないよ」
とイツキは資料を見ながらそう言った。
「見舞金以前の問題です」
ヨッシーは呆れたように求人票をデスクの上に投げた。
「そこそこハードで和気あいあいっていうのは無いんですか?」
ヨッシーはダメ元でイツキに聞いてみた。
「そう言われてもねえ……」
と暫くイツキは考えていたがポンと手を叩いて
「お、一つあるわ。そこに行って見る?」
と答えた。