表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界のキャリアコンサルタント~今一番のお勧め職業は『魔王』です~(改)  作者: うにおいくら
第4話 エルフの村

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/137

出会い

 まだイツキがこの世界に転生して間がない頃。はじめての冒険に出て訪れた村がここオルモン村だった。

もちろん初心者モンクで誰も相手にしてくれず、パーティーも組めずに1人で冒険していた。


 エルフの村という事で、当然のごとく村に入る事を拒否された。

仕方なくこの湖の(ほとり)で野宿をしていたイツキは腹を空かせながら寝ていた。

それは満月の夜だった。

湖からの水が跳ねるような音に眠りを破られたイツキは、湖に近づき木陰からそっと様子を伺ってみた。

するとその満月の光の中、沐浴をしている美しい女性が居た。

月の光に照らし出されたその姿は神々しくて(はかな)いものに見えた。

余りの美しさに、茫然(ぼうぜんと)と見とれてしまったイツキはその場から動けなくなった。


 人の視線を感じたイリアンは急ぎ龍の姿に戻ったが、それに驚いたイツキはその場に座り込んでしまった。


「お前は何者ぞ!」

 その白い龍はイツキに食らいつかんばかりに怒り狂って問い(ただ)した。

イツキは湖面に浮かび上がった白龍を見上げながら答えた。

「ぼ・僕は冒険者。武闘家(モンク)のイツキだ!あ・あんたは誰だ?」

少し声が震えている。


「私はこの湖の主。人は私の事をシャヴォン湖の白い龍と呼ぶ。そなたは我が姿を見たな」


「見た。はっきり見た。食い入るように見た。細部までばっちり見た!」

イツキは観念した。そしてやけくそになった。


「なんだとぉ!」

白い龍が少し赤くなった。

それを見逃さなかったイツキは畳みかけた。

「なんで、そんな奴がこんな公衆の面前で風呂なんか入っているんだ! ちゃんと銭湯へ行け! 風呂代位持っているだろう?」


「いや、こんな夜中にここに来るものが居るとは……それに沐浴だから……」

予想もしない返事に白い龍は返答に詰まった。


「それはあんたが浅はかなだけであって、オイラの責任ではない!!」

更に強気で攻めるイツキ。


「でも、シャヴォンの主が銭湯へなぞ行ける訳もないし、そもそも私は一応女神の部類に入るんだし…そもそも沐浴だし……」

次第にしどろもどろになっていくシャヴォン湖の主。


「知らん。公衆の面前で裸になったら、普通は裸になった方が罰せられるぞ!」

ここまで来たら押し切るしかないとイツキは腹をさらにくくった。


「それはそうなんだけど……」


「オイラだから良いようなもんだ。他の人だったら見られるだけでは済まなかったと思うぞ」

ただで済まないのは間違いなく見た方なのだが、イツキの思わぬ反撃にシャヴォン湖の主も気が動転したようだった。


イツキはこの時点でこの場をしのぎ切った事を確信した。


 シャヴォン湖の主はまた女性の姿に戻ってイツキの前に現れた。

「私の名前はイリアン・エメラルダス・ドラコ。今日の事は誰にも言わないでくれます?」

とイツキに哀願する始末だ。


「僕の名前はイツキ……今日の事は誰にも言わない」


――大丈夫、僕の口とあそこは固いのだけが自慢だ――


と下世話なジョークを思いついたが流石に少年のイツキは言えなかった。

今のイツキなら間違いなく臆面もなく下世話なジョークを吐き出してシャヴォン湖の主に瞬殺されていただろう。


「あ~良かった。でも何故あなたは、この夜中にここに居たのですか?」


「エルフの村に行ったら、相手にされずに追い出されたのでここで野宿していたんだ」

とイツキは素直に答えた。


「そうですか。エルフは人との接触を極力避けますからね」

とイリアンは納得したように頷いた。


「お陰で良いモノが見れました」


「あなたはバカですか!?」


     ・

     ・

     ・

     ・

     ・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ