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出会い

 その頃、同じ場所を自衛団に入って数か月が経ったヨッシーが歩いていた。

自衛団では新米剣士として訓練を受けていたが、この頃やっとパトロールの任務に就く事が出来るようになっていた。


 今日も二人組のチームに分かれて密猟者の探索の為この周辺を見回っていた。ヨッシーは先輩剣士トシとつかず離れずで二手に分かれて探索を続けていた。


「お前はまだ土地勘がないから、そんなに動き回らずにその位置の周辺に気を配っておいてくれ。とりあえずは休憩がてらその辺に居ろ」

トシはそう言い残して先へと進んでいった。


 動き回るより一箇所にとどまている方が、魔物に遭遇する確率は低い。ただでさえ魔物の数が減っている中で、ヨッシーが遭遇する事はまずないだろう……とトシは先を急いだ。


一人取り残されたような気分になりつつも、ヨッシーは森の大木に寄りかかり一休みしていた。


そこに大声で喚きながら慌てふためいて逃げていく男たちを見かけた。


「密猟者か?」

とヨッシーは身をかがめてその逃げていく集団を見ていた。

切られたのか相当な出血もしているようだが、傷自体は魔法か何かで治したようで走って逃げて行った。

それを確認するとヨッシーは、その男たちが走って来た方向へと進んでいった。


「あれは間違いなく密猟者だ。経験値欲しさで入ってきた奴らだろう……。それを反撃できる力の魔獣にでも遭遇したか? 今時珍しい……」


ヨッシーは事実を確認するためにも見に行かねばならない……そう思い彼は周囲を窺いながら慎重に進んでいった。


 森の中に居たのは小汚い恰好をした二人の黒騎士だった。

一人は右手に剣を持っていた。もう一人はダガー。


 それを認めたヨッシーは思わず声を掛けてしまった。


「こんなところで何をしている!」

二人はこちらを振り向いた。

小汚い黒騎士の顔は血まみれだった。


――この二人がさっきの奴等をやっつけたのか?――

ヨッシーは声を掛けた事を後悔したが、今更遅いと腹を(くく)った。


「ああ? 密猟者がいたから懲らしめてやったんだよ。お前こそなんだ?」

アイリスが応えた。


「俺は自衛団だ。密猟者がいないか見回りをしている」

声を聞いてこの黒騎士が女で有る事をヨッシーは知った。


「今更遅いわ! たった今追い払ったところだ!」

アイリスはいまだにさっきの戦いの興奮が収まらない様で言葉が粗い。


「それは済まなかった。お前たちは黒騎士団か?」


「そうだ。だったらどうする? 殺るか?」


「殺らん。殺る意味が無い」

とヨッシーは落ち着いて対応していた。数か月前までは高校生だったヨッシーだが、彼は彼なりにここで成長した様だ。

ここに来てイツキにもてあそばれた頃の姿はもうどこにもない。


――女の黒騎士って……もしかして……――



「あんた達、イツキさんがオーフェンに紹介した二人か?」

とヨッシーは二人に問いかけた。


「え? イツキさんを知っているの?」

とエリザベスが驚いたように聞き返した。


「ああ、イツキさんがオーフェンに可愛い女の子を人身御供にして黒騎士にしたって……街で知らない奴はいない」

エリザベスの声に親しみを感じたヨッシーは笑いながら言った。


「人身御供とは……」

とアイリスとエリザベスは顔を見合わせて苦笑した。


 その様子を見ながらヨッシーは

「という事はあんた達は、エリザベスにアイリスか? 俺もここに転移して来てイツキさんにこの自衛団を紹介されたんだ」

と二人に聞いた。

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