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黒騎士になった三人


 そこへキースとジョナサンが戻ってきた。

ジョナサンは黒騎士の甲冑に身を包んでいた。


 その後ろに同じく黒騎士の甲冑を身に着けたエリザベスとアイリスが立っていた。

三人の黒騎士がイツキの前にやってきた。


 たかだか二日ほど会わなかっただけなのに、二人とも見違えるような存在感があった。


「なんだか、一年ぐらい会ってないような違和感を感じるわ」

イツキはそう言った。


 エリザベスがイツキに

「確かに密度の濃いい訓練を受けましたが、二日やそこらでは変わりませんよ」

と笑って言った。


「そうだよね」

頭をかいてイツキも笑った。

そして

「これから、アイリスに続いてジョナサンも加わるから、少しは寂しくなくなるだろうね」

と二人に声を掛けた。


「はい。これからが楽しみです」

エリザベスはにこやかに笑ってイツキに応えた。


「エリーもアイリスも何かあったらジョナサンに相談するんだよ」

とイツキは二人に声を掛けた。


「はい」

二人は声をそろえて返事をした。


 イツキは二人の耳元で

「キースの変態になにかされなかったか?」

とこ声で聞いた。


 二人とも

「大丈夫ですよ」

「とっても気を使ってくれてます」

とイツキの心配を一笑に付した。


「それならいいんだけど」

とイツキは呟いた。


「本当に疑い深い男ですね。あなたは。私はあなたとは違いフェミニストだと何度も言っているでしょう? 言葉は理解できますか?」

とキースはイツキにわざわざ近寄って耳元で囁いた。

イツキが横目で見ると


「ふん!」

と鼻で笑って離れた。


「まあ、ジョナサンをちゃんと評価してくれた礼は言っておくよ」

イツキはキースに珍しく頭を下げた。


「だから言ったでしょ。私はあなたと違ってフェミニストだって。好き嫌いだけでモノの良し悪しを判断したりはしな~い」


「まあ、何とでも言え」

しかめっ面でイツキは応えた。

やはりコイツは好きになれんなとイツキは改めて思っていた。


 そこへカツヤがやって来た。


「ジョナサン、似合うねえ」

と感心したように褒めた。


「そうかぁ?」

ジョナサンは照れながら応えた。


「これでやっと念願の騎士になれたやん。ホンマに黒騎士の方がカッコええなぁ。ジョナサンが強そうに見えるわ」

とカツヤが軽口をたたいた。


「アホ。俺は強いぞ」

とジョナサンは憤って言った。伊達に魔王三人を倒してはいない。それなりに実績がある元勇者だった。


「あ、そうやったわ。失礼。失礼」

と慌てて謝るカツヤもジョナサンが騎士になって嬉しそうだった。

これから一緒にパーティは組めない寂しさはあるが、友達がなりたかった騎士になったのを見て本当に嬉しかったようだ。


 アシュリーとアイリスもジョナサンの姿を見て

「う~ん。本当に似合うな。変にうちで騎士をしないで良かったかもな」

と黒騎士振りを褒めた。


「黒騎士に飽きたら言ってきて。私が狩ってあげるから」

とアイリスも笑いながら軽口を叩いた。


「そうだな。その時は遠慮なく返り討ちにさせてもらうよ」

ジョナサンも笑いながら返した。


 その日、オーフェンの宮殿は昔のように一日中煌々(こうこう)と明かりがついていた。

イツキ達のアシュリーとアイリスへの思いつきは、オーフェンにとっても嬉しいプレゼントになったようだ。



しかしイツキは知らなかった。同じ時間にナロワ国皇宮に何騎もの早馬が駆け込んでいるのを……。



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