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黒騎士誕生

 アシュリーとアンナがオーフェンの前に並んで立った。


「魔王オーフェン。お久しぶりです。先程はありがとうございました」

と言って二人で頭を下げた。


「うむ。幸せになるが良い。ところで、アシュリー、お主は今は何をしておる?」

とオーフェンは聞いた。


「近衞師団におります」


「アシュリーは近衞の師団長だよ」

イツキはオーフェンに教えた。


「ほほ~、出世したのぉ」

オーフェンは笑って応えた。

カツヤもオーフェンの前にやって来た。


「魔王様。元気そうですな」

とカツヤは親戚のオジサンにでも声を掛けるような気楽さで話しかけた。


「カツヤか。そう言えばこの前イツキと会った時にお主の話をしておったところだわ。元気そうで何よりだ」


「また会えるとは思いませんでした」


「これからもイツキと一緒に来るが良い。いつでも相手になってやる」

とオーフェンは笑った。


「そうさせてもらいます。でも、もう戦いませんよ。あんなしんどい思いはしたくないですからね」

とカツヤは首をすくめながら言った。

勝つには勝ったがその勝利は何とか勝てたというものであった。二度も勝つとはカツヤも思ってもいなかった。


「オーフェン。今日はもう一つお願いがあってきた」

とイツキは話題を変えた。


「なんじゃ? 今度はお主が結婚でもするのか?」


「違う、違う。おいジョナサン!」

イツキはジョナサンを呼んだ。


 呼ばれたジョナサンはワインを片手にやって来た。

ワイングラスをイツキに渡すと


「魔王陛下。私剣士ジョナサン・レオポルドはこの度、黒騎士になりたく参上しました。よろしく旗下に連ならん事をお認めください」

(ひざまず)いて挨拶をした。


 その姿を一瞥すると

「ジョナサンと申すか?」

オーフェンは姿勢を正して聞き返した。


「は!」

オーフェンはそれを聞いて頷くと


「キースよ! これへ!」

と呼んだ。


「は!」

キースがオーフェンの前に同じく跪いた。


「この者をお主に預ける。良き騎士として育てるが良い」


「は!」

キースは立ち上がってジョナサンを見た。


「後悔はせぬか?」

キースは冷ややかな目でジョナサンを見た。


「しない」

ジョナサンは一言応えた。


「ふむ。剣士ではマイスターまで行ったか……。魔王は何人倒した?」


「三人ほど」


「そうか。ではそれなりに扱うとしよう……今日より我が副長となれ!」


「え?」

ジョナサンは驚いたように顔を上げキースの顔を見た。


「嫌か?」


「いえ」


「ならば良い。付いて参れ」


「は!」

ジョナサンはイツキたちに目で挨拶をしてキースと去っていった。


 また一人、黒騎士が誕生した。


「今度は男だったな」

オーフェンはイツキに声を掛けた。そして玉座に座り直した。


「ああ、まさかジョナサンが黒騎士になりたいと言い出すとは思わなかったけどね……成り行き上、仕方ない」


「存外、黒騎士は人気があるのぉ」

オーフェンはまんざらでもない顔をしてイツキを見た。


「それだけ、騎士が人気が無いって事かもねえ……平和過ぎるのも問題だな。兎に角、ジョナサンの面倒も頼むよ」


「それは分かった。で、結局、お主は何をしに来たんじゃ?」

オーフェンは笑いながら聞いた。


「ただ単に騒ぎたかっただけだよ。ほれ、オーフェンも飲め!」

そう言ってイツキはオーフェンのグラスにワインを注いだ。


「まだ、魔族がこれほど少なくなる前は、こんな感じで宮殿も騒がしかったものを……」

と懐かしそうにオーフェンが呟いた。


「早く昔のように戻って貰いたいもんだな」


「そんな事はお前らは誰も望んではおらんだろう?」

オーフェンは苦笑いしながらイツキを見た。


「そうでもないんだな……これが……」

というとイツキの表情が曇った。

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