表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/137

戸惑う魔王


 この日はオーフェンの人生でも厄日として記憶される日になったかもしれない。


その時オーフェンはサルバと自室で話し込んでいた。

そこへ遠くから声が聞こえた。それは声というより罵声に近いものだった。


「こら! オーフェン出てこい!!」


「おらおら、責任取らんかい!」


 そこへ衛兵が飛び込んできた。

オーフェンの前で(ひざまず)き報告した。

「魔王さま大変です。冒険者のパーティが乱入してまいりました」


「なんだと? ここ最近は静かだったのに……それに今は保護期間ではないのか?」


「は!そうでありますが六人組のパーティが広間まで一気に到達して『オーフェンを出せ!』と息巻いております」

と衛兵は言葉を続けた。


 オーフェンはサルバに視線を移した。サルバは目で頷くと無言で立ち上がって広間に向かった。

その後、オーフェンもおもむろに立ち上がって部屋を出た。



 広場ではイツキ達六人が好き放題喚いていた。


「何事じゃ!」

サルバが広間に響く声で怒鳴った。


「おお、サルバ! 大人しく縄につながるが良い! 成敗してくれる!」

とイツキがサルバを睨んで言い放った。


「イツキ、お主、飲んでおるな。不埒者めが。魔王の御前なるぞ」


「うるさい!! 今日はそのイカ頭を叩き潰しに来てやったわ」

今度はカツヤがサルバに怒鳴った。


「ほほ~。誰かと思えばカツヤか。久しく会わなんだら脳みそが軽くなったようだの」

とザルバをカツヤを睨んだ。


それに怯むこともなく

「やかましい。魔王の腰巾着に言われたくないわ!」

とカツヤは言い返した。


 その時、広間にひときわ大きな声が響いた。

「何事だ! 騒がしい!」


 そこにはオーフェンとキースに率いられた闇黒(ドゥンケル)槍騎士団(ランツェンリッター)がいた。

オーフェンは今の状態が理解できていないが、とても腹立たしい状況になりつつあるとはわかっていた。

キース達闇黒(ドゥンケル)槍騎士団(ランツェンリッター)は数少ない生き残りだが、既に臨戦態勢に入っていた。


 イツキが前に出た。


「オーフェン。この二人を覚えているか!」

座った目でイツキがオーフェンの前にアシュリーとアンナを押しやった。


「ほほぉ。死にかけのアシュリーとアンナではないか? それがどうした」

オーフェンは低い声でイツキに応えた。


「そうだ。お前のお陰で二度も死んだ爺さんにあの世で会ったアシュリーと、そんな男の嫁になり下がったアンナだ!」


「なんだ? この二人は結婚したのか?」

オーフェンが叫んだ。


 同時に

「成り下がったってどういう意味だ!」

とアンナも叫んだ。


「そうだ! お前がアシュリーばかりいじめたお蔭で、この二人に愛が芽生えて結婚してしまったんだ!」

イツキは更にオーフェンに詰め寄った。


「何?」


「俺はいじめられてなんかいない……」

小さい声でアシュリーが反論したが、それは誰の耳にも届いてはいなかった。


 そんな声にはお構いなしにイツキは

「オーフェン! お前は日頃、神も恐れぬ泣く子も黙る最強の魔王とかぬかしていながら、なんと! このニ人の愛のキューピッドなんかをしてやがったんだぞ。それも戦いの最中に……懐に愛の弓矢を隠してやがったのか?! この軟弱もんがぁ!」

と一気にまくし立てた。


「え? ちょっとまて! 意味が分からん! お前は何を言っている?」

オーフェンは予想を遥かに超える話に理解がついて行かなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ