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なりそめ


 その時に二人に愛が芽生えた……と聞かされたが、イツキ、カツヤ、ジョナサン、シラネの反応は

「へ?」

だった。


「そんなオチ?」


「お前ら本気で戦っていなかっただろう」

と逆にイツキたちに(なじ)られる結果になった。


 少なくともその戦いの現場を知っているイツキやカツヤは、終わった後にそんな事を思う余裕も気力も無かった。


ひとことで表すと『無』の境地だった。

全ての力を出し尽くして、何も考えられない状態だった。そんな状態が一週間位続いた。


「そんな事はない。真剣に戦った。手を抜いて勝てる相手ではないのは、お前たちが一番よく分かっているだろう?」

とアシュリーとアンナは反論した。


「いや、お前たちは俺たちが必死で戦っている最中に、瞳と瞳で愛の会話をしながら戦っていたに違いない」

とカツヤが言った。

既にカツヤとイツキは相当ワインを飲んでいた。


「そんな事するか! 第一そんな余裕がどこにある」

アシュリーは真剣にカツヤとイツキに言い訳していたが、イツキたち二人にとってはもうどうでも良かった……と言うか、他のジョナサンもシラネも二人の馴れ初めなんかは、初めからどうでも良かった。


 要するにアシュリーとアンナ以外は、この幸せそうな二人をおちょくって楽しんでいるだけだった。

アンナは途中でそれに気が付いたが、アシュリーが必死で言い訳しているのが面白くて一緒になって突っ込んでいた。


「そういえば、アシュリーからのアイコンタクトは愛を感じたわ」

と自爆していた。


アンナもどうやら酔いが回っているようだ。


 冒険者は酒が強い……と言うか酒好きが多い。

この六人もご多分に漏れず酒好きだ。

その上今日はピッチが早い。酔いが回るのも時間の問題だった。


 そこでアシュリーが言い出した。


「俺が本気で戦っていたかいなかったか、当の本人に聞いてもらおうじゃないか?」

と言い出した。


「当の本人って誰?」


「オーフェンに決まっているだろう!」

とアシュリーは叫んだ。

アシュリーは酔った上に頭に血が上ったようだ。


「オーフェンってお前らの仲人やんか!」


「イツキこの世界では仲人とは言わん。キューピッドやキューピッド」

とカツヤがすかさず訂正した。


「おお、そうか! それやそれ!」

もうイツキは単なる酔っ払いになってしまっていた。

そのままの勢いで

「それじゃ、今からオーフェンとマリアの仲人に会いに行くぞ!」

とイツキはまた仲人と叫んだ。


「だからキューピッドだって」

と訂正を入れるカツヤも完全に酔っぱらっていた。


 イツキがマリアに

「ワイン五十本とお持ち帰りセット大至急作って」

とオーダーした。

厨房は残っている食材を集めて、お持ち帰り用のセットを作った。


「倉庫のワインを全部持ってこい!!」

と店長が叫んでいた。


 厨房が団混乱に陥りながらお持ち帰りセットを作っている間、この六人は

「オーフェンを問いただしてくれる」とか

「仲人に手土産も持って行かんのか!」

とか好き放題な事を言っていた。


 マリアたちが慌ててイツキの元にお持ち帰りセットを持っていくと、イツキは

「ありがとう」

と言って受け取った。

そして

「では今からオーフェン征伐に行くぞ!」

と叫んだ。


「お~!!」

いつの間にかオーフェン征伐パーティが出来上がっていた。


イツキ・カツヤ・アシュリー・アンナ・ジョナサン・シラネの六人は酔っぱらったままテレポーテーションした。勿論イツキもこれだけの人間を引き連れてテレポーテーションするのは初めてだった。

それも酔っぱらった状態のまま。


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