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面談中

「そんな事は俺の勝手だろう? あんなところに居ても何のメリットもない」

とイゼルグは憤ったように言葉を吐いた。


「う~ん。正直言ってこのレベルでは、このギルドでは入れるパーティを探すのは厳しいかもですね」

とイツキははっきりと言った。


「なんだと!?」

イグゼルは眉間に皺を寄せてイツキを睨んだ。


「ま、落ち着いて。その理由は今から説明します」

とイツキは顔色一つ変えずに、イグゼルをなだめた。


「冒険者になったのは十六歳ですよね」


「そうだ」


「それで三十歳でレベル15。その歳と経験でこのレベルはちょっと低いですね。このキャリアならせめてレベル30は欲しい。特に戦士で前衛を任されるのであれば、体力があればあるほど有利になるのは分るでしょう?」


「それはその通りだが……」

イグゼルは言葉を濁した。本人もその辺りは自覚だあるようだった。


「その原因は転職の回数にありますね。まず最初は『大楯の震龍』に加入。ここを二年で辞めてますね。その後三年ほどソロでが活躍されて、そこからまたパーティへ……あら……転々としてますねえ……本当に落ち着きがない」


「それが何か問題でもあるのか?」


「パーティを抜けてからのブランクもありますね。引き籠ってでもいたんですか? こんだけ転職を繰り返していたらレベリングも大してできないのも当たり前です。経験値もそれほど増えない。無駄な時間が多すぎる。私から言わせたら『銀斧の天雷』があなたを受けれいた事の方が驚きですな」


「それは……」


「『銀斧の天雷』は誰かの紹介ですか?」

とイツキは間髪入れずに聞いた。


「何故そう思う?」


「だってあそこにこのキャリアで入るなんて、誰かの強烈なコネでも無いと無理でしょう」


「……」

イゼルグは無言だった。


 それを見てイツキは

「私はね、これでもキャリアコンサルタントなんですよ。ギルドの窓口業務ではないんでね。カウンセリングも仕事の内なんですよ。だから正直に話をしてもらわないとね。な~んにもアドバイスも提案もできないんですよ。判ります?」

と言った。


「……実は親父の口利きがあった」

とイゼルグは少し考えてから正直に言った。根は素直な男らしい。


――やっぱり縁故採用か。マーロンも人が良いからな――


「ほほぉ。なるほど。親父さんも冒険者とか?」


「ああ、今は引退して武器屋の店主だが……」


「なるほど……」

サブキャリアに鍛冶師を選ぶ冒険者は多い。イゼルグの父親もそうなのであろう。冒険者時代あるいは武器屋として『銀斧の天雷』のリーダとは知己があったのだろうとイツキは想像した。


「もうリーダに辞めると言ったのですか?」


「いや、まだちゃんと言っていないが、もうパーティには顔を出していない」


「それじゃ、今は単なる無断欠勤中ですな。最低ですよ。人として。今までそんな事ばかりしていたんですか?」

こういうタイプの人間はだいたい同じような辞め方を何度もしている。


 イゼルグは無言だった。どうやら図星だったらしい。


「良いですか? イゼルグさん。折角冒険者をやっているのに自分で自分の首を絞めているような事を今していますよ。自覚あります?」


「……てな事をこれまでさんざん言われてきていませんか?」

と最後にイツキは優しくイゼルグに聞いた。



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