4 私から見た鬼屋敷海斗2(来夢視点)
和歌が書庫で夜風を浴びているころ。
本当に…偶然だった…
僕は今日、なぜか眠れなくて、天井を見上げてぼーっとしていた。すると、天井の一部が開き中から同い年くらいの少女、情報網真珠真珠が出てきた。
「気づいてるよ。何の用? 真珠。」
「…気が付いたのなら気が付いたとおっしゃってください。」
「…何の用って聞いたんだけどな。当主から言伝? それとも、今調べてもらってる情報?」
真珠は感情が読み取りずらい無表情のまま言った。
「いえ。わたくしは知りたいことがあり、書庫で読書をしておりました。すると読めない字がありましたので、来ていただけますか? 当主に選ばれしスパイのリーダー。来夢様…。」
「………………はあ。わかった。見せて。」
そう言って手を差し出すと、真珠は何かに気づいたように顔を変え、血相を変えて言った
「ももももももも申し訳ありません。」
「何? 怖いんだけど。」
「……書庫に…」
「…? 書庫に? ………………もしかして、忘れた?」
僕の言葉に真珠は黙ってうなずく。正直言って呆れた。
真珠は情報網として優秀だけどおっちょこちょいなんだよなぁ…
「ももももももも申し訳ありありありありませんんんんん。」
さすがにその恐れ方は傷つく。
「とととととととはっ。」
俺の視線に気づいて真珠は言い直した。
「とって参ります。」
真珠が本を取りに書庫に戻り数分待った。
だがいつまでたっても戻ってこない。まあ、あの天然の真珠の事だ。忘れているに違いない。
読んでくれてありがとうございます。
真珠は来夢の想像道理、忘れていました。