2 俺の仕事とお説教
「それより海斗ぉー?」
うっ 来た。
「入学式中どこ行ってたのよ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」
「うー。…虹iroの動画見てたんだ! 悪いか!」
俺が演じているキャラなら、きっとここで開き直る。
「入学式中にやることじゃない!」
それには、《海斗》も言い返せない。
「そんなことを言うなんて、《歌》らしからないなぁ。」
「うっ…はあぁぁー。」
なんだその無駄に長い溜息は…。
ちょっとイラァァッっとしたが、…まあいい、《海斗》はそんなこと気にするキャラじゃない。
俺は倭姫宮和歌が《姫宮歌》演じられているかの監視のためにここにいる。
陰から監視すればいいものの…それはまあご丁寧に戸籍まで用意しやがって…!
《歌》と同じく《海斗》を演じる俺には、本名、偽名の二つが存在する。
本名は鬼屋敷海斗。このことを知っているのはごく一部の人間…ではなく鬼しか知らない。
鬼は妖の中で最も強い存在。その当主に選ばれる4人のスパイ。その中の一人が俺。
スパイは基本的に、学校には通わず当主にとって有益な情報を集めるのが普通。
スパイの存在を知っていても、情報集めしかしないと思っている。
が、
そんなものはデマ。まったく、失礼な話である。
…まあ実際、情報網《情報係》はいるが、われらはあくまで実行役だ。
読んでくれてありがとうございます。
高校の入学式ってどんな感じですか?