3話 後半「新たな日常/少女転々」
以下、見なくていい前書き
お久しぶりです!(いうて1週間)
書きだめは全然ですが設定はどんどん増えています。
とりあえずこの第3話を終わらせに来ました。
週に1回のペースで投稿したいですが、2週間に1回とか1ヶ月に1回になるかもしれません。逆に急に週に6回とか投稿するかもしれません。
全てはモチベ次第なので、評価やブクマをつけていただけると幸いです。恐縮しまくって滾って書きます。
誤字報告はもちろん、考察や感想、質問やご指摘をいただくと喜びます。ウッキウキで試行錯誤しながら書きます。
1週間くらいで合計100ptも貰えて震えてます。
俺が読みたいのでエタらせません。
前書きが長くなり過ぎました( ;´꒳`;)
それでは本編をどうぞ
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──・・・・・・[1号]
最近は実験もないのに気づいたら日がたっていることが多い。俺は風呂に入っていないはずなのに、体は清潔で服も新しい。まるで別の誰が俺の体を使って風呂に入ったみたいだ。
(……まぁ俺が多重人格なんてわけないよな、どうせ新しい実験の影響とかそんなんだろ)
しかし、今日は何故か部屋にぬいぐるみみたいなやつが居る。実験の褒美かとも思ったが、組織がそんなことをするはずない。
しかもこのぬいぐるみ(?)、魔力を持っている。ただのぬいぐるみでは無さそうだ。
そして今日は何故か疲れた。運動なんてした覚えは無いが何故疲労が溜まっているのか……。
(もしかして本当に多重人格……?まぁ、考えてても仕方ないか)
とりあえず疲労を取るべく寝ることにする。
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──・・・・・・[1号?]
「うーん、気づかれるのも時間の問題かなぁ?」
意味も無くぬいぐるみに話しかける。
ちなみにこの部屋に盗聴器の類はない。少し集中して聞けばわかる事だが、アイツはバカなのか鋭いのか分からない。
そしてこのぬいぐるみ、もとい組織の人工妖精は、私が組織の魔法少女として戦うためのものだ。
あの時壁を破って研究員に声をかけた後、「お前の実験が成功したのも急なことで一切準備が出来ていない」と言われ、大人しく収容室で待っているように指示された。
そして昨日はこの人工妖精が使えるかどうかの実験があった。実験は人工妖精でも魔法少女が生み出せるのかと、生み出した魔法少女が使えるか、というものだった。結果は私が組織の魔法少女として実戦投入されることが決まり、この人工妖精も緊急出動に備えてに私が管理することになった。
「ねぇ、アンタはどう思う?私はアイツのこと嫌いだし私の事教えたくないけど、私達の事が組織に気づかれる前に教えるべき?」
「……」
もう一度人工妖精に話しかけるが、微動だにしない。人工妖精に個としての意志は無いらしく、魔力さえなければぬいぐるみと変わらない。
「つまんな」
「……」
「あ〜はやく他の魔法少女と戦いたいなぁ〜」
やることも無いし、昨日の疲れがまだ溜まっている。憂鬱な気分で泥のように眠りに着く。
─(×××、××××××××××××)────
微かに何かが聞こえた気がした。
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──・・・・・・[1号]
ぬいぐるみ(?)が来た次の日。俺はこのよく分からないぬいぐるみを抱えて撫でていた。
この体にも慣れてきて、あまり違和感も感じなくなってきた。それでも今の自分の姿を見ると何だか気分が悪くなる、こんなにかわいいのにも関わらずだ。忘れている記憶と関係がありそうだが、無理に体の既視感を思い出そうとすると吐き気がしてしまって思い出せない。
他に記憶の手がかりも殆ど無い。でも思い出せない。
つまり、何が言いたいかと言うと。
「やることが無い!暇!」
誰に聞かれる訳でもないが、声に出してみる。盗聴器など無い、プライバシーの守られた真っ白な部屋に俺の声が響く。
今はむしろ誰かに聞いて欲しいくらいだ。
もちろん、部屋にいてもできることはある。
筋トレや、魔力訓練に能力の練習。つまり自己鍛錬だ。
こちらも無理のない程度に毎日こなしている。
特に筋トレは記憶にほんの一欠片、白黒の状態で残っていたのでやってみたところ、意外と体が覚えていてトレーニングメニューを多少思い出せた。馬鹿みたいな量のトレーニングをもっと色々やっていた気がする。
だが、思い出せた量だけでもこの体だと充分な筋トレになる。正直キツイ。
なのでずっと筋トレをしている訳にもいかず、他にできることも無い。
こうしてベッドでぬいぐるみを愛でるしかないわけだ。
しばらくぬいぐるみを撫でていると、部屋の外、廊下の方に足音が聞こえてきた。2人、何かを運んでいるようだ。
「こうして運ぶのもこれで4人目か……」
「そのうち1人は潰れたらしいな。俺たちが苦労した運んだっていうのに、特殊研究所の奴らは何やってんだ?」
「まぁいいじゃねぇか、これも組織の為なんだし。」
「そりゃ構わねぇけどよ、潰れた奴は雑に捨てられてるんだぜ?せっかくなら最後まで有効活用して欲しいよな」
(4人目……俺以外にも実験体が居るのか)
これで俺を含めて実験体は5人。しかし1人は潰れて捨てられたのか。それにしても酷い話だ。
「あ、それが新しい子?ふーん、僕はいいや。」
「「!!?」」(!??)
「ふふふ、皆いい反応するね!」
不意の訪問者に雑談していた2人はもちろん、俺も驚かされる。邪神は全く音を出さずに来ていた。それも問題だが…
(今、皆と言ったな。まさかとは思うが……)
「僕は1号ちゃんに用があるんだよね。君たちはどっかいって。」
「「は、はい!!!」」
2人分の足音が逃げるように遠ざかる。
(邪神は俺に用があるらしいが……何だか嫌な予感がする。)
「聞こえてるんでしょ1号ちゃん。じゃ入るね〜」
収容室の扉が軽快なロック解除音を鳴らす。
俺は立ち上がり、少し身構えつつ扉に向き直る。
扉が滑らかにスライドし、邪神の姿が現れる。
「久しぶり1号ちゃん!それじゃおやすみ」
その瞬間、俺の視界は邪神の手で覆われ、俺は反応すら出来ずに意識を奪われる。
今にも途切れそうな意識の中で声が聞こえる。
─(こんな……あっさり…………)
体から力が抜け倒れる俺を、邪神が受け止める。
俺の意識はそこで途切れた。
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──・・・・・・[邪神]
「やっぱりあの子に似てる……」
僕の胸で眠る彼女を見てつぶやく。
「かわいい寝顔…」
もう少し寝顔を眺めたかったが、"彼女"がゆっくりと目を開ける。
「…なにか、御用ですか?マスター」
組織の洗脳を受けた"彼女"が僕に問いかける。
「マスターだなんて、やっぱり君たちは面白いね!」
"彼女"が可愛らしく首を傾げる。
「今日は僕の実験を手伝ってもらおうと思ってね!君の能力を貸してほしい」
「マスター、の、ご命令であれば、私が、喜んで」
まだ受け答えがぎこちないが、彼女は僕に力を貸してくれるらしい。
というか、さっきから"彼女"の考えが読めない。
まるで機械か植物と話している時みたいだ。いや、植物はまだ意思のようなものが流れ込んでくる。対して"彼女"からは意思も何も流れ込んでこない。
まさか、"彼女"は何も考えていない?
分からない。
そう、分からないのだ。人の考えが流れ込んでこないなんて久々だ、"彼女"が人と呼べるかは曖昧なところだが。
そして、何よりも「分からない」というものは最も僕を喜ばせる。
「やっぱり君は最高だね!」
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次回。やっと魔法少女の話です。