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ts魔法少女ロベリアの追想  作者: ゴマ酢
1章 [サイカイ]編
6/9

2話 後半「地獄の始まり/反転地獄」

この回はちょっぴりショッキングなのでお気をつけて……

────

──────────────

──・・・・・・[1号]


 悪いニュースと良いニュースがある。


 まずは悪いニュースから。

 いよいよ本格的な侵略が開始するらしい。とは言っても今までの世界と段取りは変わらないらしく、イレギュラー対策はこの特殊研究所に一任されたらしい。ここが特殊研究所だなんて初めて聞いたが。

 俺の実験が増え、俺の世界に関して質問攻めの毎日だ。そして研究者連中は四六時中忙しなくしていてこっちまで落ち着かない。聴力が向上したのが仇となった。休まる日がない。


 お次は良いニュースだ。

 俺に特別な実験が認められたらしい。新たな能力の移植実験だそうだ。聞くところこれまでロクな結果を出していないようだが、今回は珍しく邪神が自ら実験するらしく研究者連中も期待を露わにしている。

 とまぁ、研究者連中にとっては良いニュースだろう。イレギュラーへの対抗策になり得るのだから。

 俺にとっては悪いニュースでしかない訳だが。


 ここに来てからの日常は思い出しても真っ白だ。これからの記憶は全て真っ白なままなんだろうか。

 良いニュースを期待して、今日も真っ白な頭で眠りに着く……。



  ───この時既に。誰も気付かぬうちに。

       俺の心が"順応"し始めていた。────



────

──────────────

──・・・・・・[1号]


 遂にこの実験の日が来てしまった。そう、邪神の能力移植実験だ。俺はいつもの収容室に併設された実験室とは別の、特別実験房とやらに睡眠薬で移送され、目が覚めた時には手術台のような物の上で四肢を拘束されていた。機械で口が塞がれている。他にも色々な機械が繋がれている。

 微かに足音が聞こえる。()()()だ。


「やぁ!久しぶり1号君!積もる話とかどうでもいいしさっさと実験しよっか!今回君に移植する能力はこれ!《()()》!いやーこの《反転》が曲者でねー──」


 入ってきて早々これだ。相変わらず話が長い。だが俺の能力になるんだ、しっかり聞いておこう。


「《反転》の能力を持った魔人を作ったらソイツ自分の能力に耐えられなくて死んじゃったんだよね、その後ほかの魔獣とかに移植してみたんだけど全部だめでね、みんなこの1つの魔石になっちゃったて訳!」


 黒い大きめの水晶のような物を取りだして見せられる。これが魔石というのか。しかしこれを取り込んだやつはみんな死んだって言ったな、俺が次に選ばれたのはこの能力のせいか?


「そう!まさか君の能力が役立つ時がこんなに早く来るなんてね!じゃ、説明も終わったし、実験開始♪」


 されるがままに俺の胸に魔石が押し当てられる。胸が壊れるかもと思ったその時、魔石が体に沈み始めた。どんどん俺の体に沈んでゆく。

 完全に魔石が見えなくなった瞬間、俺の意志とは関係なく"能力"が発動した。全身に痛みが走る。


「ぁか゛________!!!!_______ぁ゛______か゛あ゛あ゛_____!!!!!!!!」


 口の拘束具が俺の絶叫を阻む。抑えられない声が拘束具すら貫いて実験房に微かに響く。


「あーなるほど!君は元々《適応:順応》の能力を常時発動させてたから《反転》も常時発動してるんだね!凄いや!魔石の魔力も取り込んだから魔力消費も問題なさそうだね!あとは君が死ななければ実験は成功かな。後は頑張って〜」


 そう言い残して邪神は消えた。


(もうそんなことどうでもいい!!とにかくこの能力を止めないと!!)


「う゛う゛あ゛あ゛あ゛______!!!!!!__________か゛あ゛あ゛______!!!!!!!」


 止まるどころかさらに痛みが激しくなる。


(《反転》が体に"適応:順応"し始めたんだ、だから《反転》が強くなって────!!?)


 突然感覚がチグハグになる。いや、体の左右が反転したのだ。次の瞬間元に戻る。


(今まで《反転》は発動してなかったのか!!体に合ってなかったから!!!)


「______#%______!!!!!!!!!う゛く゛あ゛__________!!!!!!」


 色々なものが"反転"する。左右。前後。上下。体色。この位はまだいい方だ、これ以外は全て気がおかしくなる。

 まず意識。これが反転すると気絶する。さらに反転して覚醒する。

 次に性別。女になったり男になったり。上下左右の反転と合わせて感覚が嬲られる。

 次に痛覚。苦痛が反転して快感になる。が、すぐに苦痛になる。意味不明な情報に脳が追いつかず意識を奪われる。

 他にも色々もう何が反転しているのかも分からないが、極めつけは身体の()()が反転する。体が破裂し元に戻る。他の苦痛を一笑に付すかのような、痛みと形容するのが正しいのかも分からない感覚が襲い続ける。

 ここまで体がぐちゃぐちゃになっても死んでいないのは、何がどうなっているのだろうか。

 そんな疑問すら持つ暇もなく《反転》の暴走は加速する。


「××××××××××××××!!!!!!!!!!!!!」


 いつの間にか拘束が外れているのにも気づかず、動かないからだでのたうち回る。

 

 終わらない《反転》の暴走に、俺は思考を辞めた。


────

────────

───────────────────

─────────────

──・・・・・・




 ─────《適応:順応》発動。──

       ── 生存を続行します。────────



────

──────────────

──・・・・・・[×]

× ×× ×××× ××× ×× ××× ×× ×× ×× ×× ×× ×××× × ×× ×××× ××× × ×× ×× ××



tips.1号が悪の組織の世界に来た時、人の体には有害なほどの魔力が満ち溢れていた。

  そのため邪神は1号が魔力を扱えるように魔術回路を活性化させ、その結果1号の《適応:順応》の魔術回路が魔力の適化と供給を始めた。

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