1話 前半「夢と記憶/理想ノ夢」
このお話は不定期更新です。お話を書くのも初めてです。
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ヒーローが好きだ。
どれだけ絶望に打ちひしがれようとも、
どれだけ重荷を背負おうとも、
どれだけ報われなくても、
正義を貫き、悪を滅ぼし、困っている人を助ける。
そんなヒーローが好きだ。
……………………でも
そんなヒーローはこの世界に存在しない。
どんなに人々が嘆いても、
どんなに人々が悲しもうとも、
どんなに人々が助けを求めても、
ヒーローは居ない。
俺はそれを知っている。
……それでも、ヒーローに憧れた。
「ヒーローが居ないなら。自分がヒーローになればいい」
そんな身に余る理想を抱いて、
あの事件が起こるまで人を助け続けた。
俺には似合いの罰だったかもしれない。
その事件で、俺は2度絶望した。
「誰もに手を差し伸べるヒーローになる。」
そんな理想は叶わないのだと、
俺というヒーローは要らないのだと、
その時思い知った。
それから俺は家に引きこもり、あまり外に出なくなった。
人助けも、しないようになった、
二度とあんな過ちは起こさないように。
…………それでも俺は、ヒーローに憧れていた。
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