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第84話

 秋の半ば。私の拠点でも収穫が始まる。

 特殊な魔法植物やマンドレイクの収穫は私だけで担当し、普通の植物はマイコニド達に任せている。


 2年目の収穫はなかなか良い出来だ。

 マンドレイクは時期を逃したせいで少し成長が遅かったが、今年に植えた分は順調に育っている。

 ガラス温室に隔離している特殊な魔法植物も、元気に育っており良い感じだ。

 これなら、良い品質の魔法薬の材料になると期待できる。


 さて、これらを選別しより良い種を残して来年に備えないと。

 それと、保存食の作製も並行して進める。

 真空パックは無理でもフリーズドライとかできたらなぁ。

 何とかならないかな・・・今は研究班も忙しいし、タスクを消費させるまでは保留かな。


 とりあえず、瓶詰めにして長期保存にはするけど。


 さて、ベッティちゃんはアレから魔獣狩りの修行を幾つか熟し、魔女のクラスレベルが上がって3となった。

 レベル5になったら成長先の系統に気を付ける必要がある。

 こっちだと確認していないが覚醒に至れば上位互換のクラスや派生クラスが解禁される。

 ゲームみたいに気軽にクラスチェンジできないから、クラス構成ビルドは慎重にしないといけない。

 半端なスキルや魔法を習得しても、意味が無くなってしまう。

 私は1次生産フレンドリーを意識してるから、戦闘力は中途半端だからなぁ。

 ガチ寄りのマーシャさんやアキヒト君と相談することにした。


「魔女系主軸っすかぁ。エルドラド・クロニクルだと主流じゃない系統っすね」

「弱体化魔法は対人だと要警戒だからメタ貼られやすいし・・・

 おススメするなら順当な上位互換の『上級魔女』を順当に伸ばして最上位の『神代の魔女(ヘカテー)』までクラスアップかしらね。

 神代魔女ならコスト重いけど耐性無視する魔法とかあったはずだし、特化させた分、成長も速いからスタンダードに強いはずよ」

「でも神代魔女はパーティー向けっすよ。こっちの世界だと盾役出せる召喚魔法つかえるクラスあれば便利と思うっす」

「順当に考えたら、召喚型クラスと神代魔女の複合型が今のベストですか」


 こっちの世界だとレベルが低い分、人数差による強さが際立つ。

 私達プレイヤー基準なら範囲攻撃で薙ぎ払うが、こっちの世界で生きるベッティちゃんに数の暴力は相当な武器になる。


「でもあの子がどんなクラスに成りたいかにもよるのよね。強制できるモノじゃないし」

「っすね。まぁ幾つか系統派生先を紹介するだけなら良いんじゃないっすか?」


 それもそうか。

 というわけで、私が知る限りの魔女系統クラス一覧を作成して書き出す。

 クラスアップ→『上級魔女(アークウィッチ)』→『神代の魔女(ヘカテー)

『農夫』派生→『庭師の魔女(ウィズガーデナー)』→『花園の魔女(メナスガーデン)

『薬師』派生→『薬学の魔女(メディスンウィッチ)』→『秘薬の魔女(ヨモツヘグリ)

『占い師』派生→『先見の魔女(オラクルウィッチ)』→『星見の魔女(ホロスコープ)

『戦士』派生→『戦刃の魔女(バトルウィッチ)』→『戦烈の魔女(ウォーメイカー)

『吟遊詩人』派生→『幻楽の魔女(ウィッチシンガー)』→『響楽の魔女(マジカルパフォーマー)

 その他いろいろ・・・


「全部のクラスに言えるけど、派生と上位が多いのよね・・・」

「派生クラスとその先の上位まで全網羅するのは検証勢じゃなきゃやりませんからね」

「魔女系だけでこんなにあるんすよね・・・」

 しかも、こっちの世界固有のクラスもあるらしいし、このリストで全部とは思えない。

 そう言えば隠しクラスとか3種複合派生クラスとかあったなぁ・・・滅茶苦茶習得方法がメンドクサイから取ってないけど。

 私自身も基本的なクラスはゲーム時代に取ってたけど、それで全部と言えなかったし、ほのぼのまったり生産メインだったから、ガチ育成理論とか知らん。


「まぁ。なるようになるんじゃない?」

「そうですね。とりあえず、見せるだけ見せて、必要な時に解説しましょう」

「っすね。あ、俺も軽戦士系派生クラス出してみよ」


 そう言って、紙に軽戦士系クラスを書き出し始めるアキヒト君。


「アキヒト君、剣道場でも作るの?」

「ほら、俺が開祖の流派ってなんか憧れません?あ。流派の名前とかも考えたいな」

 気持ちは分るが・・・

「道場建設するなら自分でお金出してね?

 道場主になりたいのは勝手だけど、労働者をタダで動かすワケに行かないし」

「分かってるっスよ。そうだなぁ・・・『風間俊剣流』とかどうっすか!?」

「中二病はほどほどにね」


 別にどんな流派を名乗ろうと勝手だけど。


 それぞれ知っている、もしくは習得していたクラスとその派生先、発展先のクラスの情報を書き込み、それらをまとめた1冊の本が完成した。


「知っている限りのクラス情報は纏められたわね」

「結構な厚さになったっすね」

「新しいクラスの情報が入ったら追記していきましょうか」

「そうっすね。あと、こっちでのスキルや魔法の習得方法も研究したいっすね。

 自警団の役に立つはずっすよ!」

「まぁ、確かにそうね。効率的なスキル習得ができたら訓練時間も短くなるし・・・より高密度な訓練にできるわね」

 マーシャさんはそう言って、不敵に笑う。

 強く生きてくれ、自警団諸君・・・


「名付けて、『虎の巻:職の項』!」

「いや、普通に『クラス情報のまとめ』って書いときますよ」


 虎の巻ってなんだよ。秘伝書じゃないんだから。

樹木の柱ウッドピラー

種別:魔法/制限

制限:庭師の魔女or森司祭等

属性:物理

射程:5~30m

形状:柱

地面から樹木の柱を突き出して、相手を上に飛ばしながらダメージを与える魔法。

樹木の柱は使用後にしばらくフィールドにオブジェクトとして留まり、簡易的な遮蔽として使うことができる。

また、出現させた樹木の柱は足場として使用できるため、味方を上空に飛ばすなどの使い方ができる。

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― 新着の感想 ―
ジョブチェンジの方法を見つけられたら楽なんだがなぁ そう言う薬とか作れないかな?
このひとたちベッティちゃんをどこに向かわせるつもりなの? ベッティちゃん魔改造計画推進中。
これを見る限り主人公のビルドが大分中途半端な様に見えてきた
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