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第8話

 現状、私はこの国の貨幣をそんなに持ってない。

 転移(?)して来たのも有るが、この村全体も貨幣があまり無いので商売をするにも先細りが目に見えている。

 だからと言って町に住むというのも私には難しい。


 今の私の習得しているクラスでは街で活動するより、広い土地を開拓して薬草を生産し、魔法薬へ加工する方が時間はかかるが簡単に稼げる。


『薬師の魔女』は薬品と毒物に関する魔法に特化したクラス。

 加えて薬師の上位職、『ポーションマイスター』もあるので材料さえあれば大抵の魔法薬は生産できる。


 マイコニド達が集めてくれた植物にも薬草はそこそこ有るので、低位の魔法薬なら材料は十分。

 生産しながら、マイコニド達に材料として使える種類の植物を見せて、見かけたら集めるように指示も出しておく。


 エルドラド・クロニクル産の薬草類は封印。

 もしかしたら手に入らないかもしれないし、生産に成功すれば使うが生産に失敗した時の予備は必要なので。


 在野の植物を≪植物鑑定(リドルプラント)≫の魔法で効能をチェックしながら調合スキルで混ぜ合わせる。

 おっと、失敗して材料を無駄にはしたくないし、保険もかけておこう。


「≪生産品質向上(クオリティアップ)≫≪小さな幸運(リトルハピネス)≫≪副作用除外(ピュアドラッグ)≫≪生産速度向上(アクセルワーク)≫≪生産性安定化(セーフワーカー)≫≪奇跡の一滴(ミラクルエッセンス)≫」

 よし、これだけのスキルと魔法を重ね掛けしておけば物凄く運が悪くない限り失敗することは無いだろう。


 今回調合するのは『低位(レッサー)治癒の水薬(キュアポーション)』。

 中位でも良いかと思ったが、要求材料が増えるし低位の方が簡単に材料が揃うので低位を採用。

 あと、村の住人達のレベルがめっちゃ低い。

 多分、町の住人も似たり寄ったりと思うので、低位で様子見して売れ行きや市場偵察しておきたい。


 っと、考えている間に異世界で作る最初のポーションが完成した。

 一応念のために≪薬物鑑定(リドルドラッグ)≫の魔法でチェック。



【低位治癒の水薬】

 種別:薬物

 ランク:☆

 品質:優良

 効果:低位治癒魔法+10 相当の生命力回復効果。



 うん。問題無いので材料が尽きるまで連続生産。


「≪作業工程反復(リピートプロセス)≫≪作業結果再現(マスプロダクション)≫」


 あっという間に50本ほど生産完了。

 これ以上は追加の素材を集めないと作れない。

 最後に≪品質保護(クオリティキープ)薬物(ドラッグ)≫の魔法で封印を施せば完璧。

 開封しない限り品質は永続する。


「主様、こちらを」

 生産が終わったタイミングでアカネが木枠で仕切られた箱を渡してくれた。

 緩衝材代わりの藁が詰まった木枠入りの箱はポーションを詰めるにはピッタリ。


「ありがとう。 コレ、何処で手に入れたの?」

「手隙の近衛が生産しました。 いかがでしょうか」

「ピッタリ。 量産を進めておいて」


 手が空いたマイコニド達が暇つぶしで小物づくりを始めていたのか。

 ちょうどいいし、余った資材は自由に使わせることにした。


「じゃ、少し村長と話しをしてくるから」

「はい。行ってらっしゃいませ」

 アカネに見送られ、私は村長宅を目指す


 ◆


 村長宅に到着し、村長に話を通しに来た。

 目的は街へ薬を売りに行くこと。

 村人も交易か街へ行く用事が有れば同行する事を伝える。


「確かに、ゴブリン達の襲撃で資材は減っていますし・・・。 街へ物資の買い付けも必要ですな」


 マイコニド軍団なら、ゴブリンが束になって来ようと簡単に撃退できる。

 それに、食料もマイコニド達が勝手に林の中から採取や狩猟で採っているので少し放置しても問題は無さそう。

 だが、村で手に入らないものを手に入れるにはやはり街に行くしかない。


「私と、アカネ、あと真菌の兵士を何人か護衛に付けるわ。 ゴブリン程度なら道中に遭遇しても返り討ちにできる戦力のはずよ」


 マイコニド軍団の殆どは留守番として村の防衛に当たってもらう。

 あの規模の軍勢なら1週間くらい放置しても問題無く村を守り切れそうと判断した。


「確かに。 なら、直ぐに準備しましょう」


 村長は直ぐに村の顔役を集めて、街への交易を話し合い、満場一致で交易が決定した。

 メンバーは私、アカネ、真菌の兵士が5人、交渉役の村人「ユルデンス夫妻」となった。

 ユルデンス夫妻は織機を持っていた住人で、農業をしながら服飾や針子といった感じらしい。

 夫妻が村を代表して資材調達へ、私達はその護衛だ。


 出発は2日後。

 移動は荷車だが・・・異世界あるあるだと荷車が揺れて悲惨な体験をする、というのがお約束なのをふと思い出し、私は箒で並走する事を選んだ。

 旅程として出発して道中で野営し、2日目で街へ入場。

 そこから更に資材調達で2日ほど滞在して、2日かけて戻ると言った感じで6日ほどの予定だ。 途中でアクシデントも含めて想定し、村からは10日分の食料と多めの金銭が預けられる。


 話し合いが終わり、私の農地に戻ってみるとマイコニド達が本格的な作業場を作ったりして拠点化が進んでいた。

 たった数時間ほどだが、屋根のついた資材置き場、土を盛って作ったカマド、畑の予定地も雑草の処理が始まっていた。


「我らマイコニドは勤勉ですからね。 ご指示通り、拠点化は順調に進むでしょう」

「うん。 助かる」


 この調子なら出発前にはプランターだけでなく畑も使えそうだ。

≪奇跡の一滴≫

種別:生産スキル/専用

制限:ポーションマイスターLv5

属性:強化

射程:接触距離

形状:無し

調合に要求されるほんの僅かな分量調整を完璧にコントロールするスキル。

調合難易度を大幅に低下させ、失敗する確率を低下させる。

また、大成功等の良い結果を引きやすくなる。

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― 新着の感想 ―
マイコニドたちが有能すぎる、もうこいつらいれば他いらないんじゃないかな。 マイコニド達って植物型クリーチャーなのに食糧必要なのか。 ただの村人夫婦なのに夫妻って使うのなんか上品だな
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