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第80話

 さて、予定を変更してキャンプ地近くの平野に特設決闘場を作る。

 と言っても作り方は超簡単。


「≪樹木の柱(ウッドピラー)≫」


 柱を等間隔に建てて、ロープを張るだけ。終わり。

 うーむ、傾斜が気になるな・・・≪庭園作成≫で平坦化しとこう。

 あ、どうせだから観客も座れる席を用意して・・・これで良し。

 あ、マーシャさんに審判依頼しとかないと・・・後で良いか。


「≪収穫の鎌≫≪植物の繁茂(グロウプラント)≫」


 地面の雑草を芝生にして、これで見栄えバッチリ。

 うーむ、ここをサッカー場か運動場にするのも悪くない気がしてきたぞ。


 準備が整ったので、≪通信≫で決闘場所を紹介。

 マーシャさんに審判を依頼すると、

『アンタアホでしょ。わざわざ受けなくて良いのに』

「まぁ、負けても落ちる評判じゃ無いですし。能動スキルと魔法は禁止してるんで、周りに被害は出ませんよ。ちょっとした出し物と思って、お願いします」

『ハイハイ。とりあえず、ルールはさっき聞いたヤツで良いのね?』


 そんなこんなで私とアキヒト君の決闘(笑)の話が広がり、日没前。

 決闘場近くの林の中で、最後の準備をする。


【アキヒト視点】


 約束の時刻より10分前。

 言われた場所に到着すると、等間隔に並んだ木で出来た柱にロープが張られた簡単なリングが出来上がっていた。

 なんか妙に広いな。まぁ広い方が俺も機動力が活かせるから良いか。


 しっかし、エリシアさんの考えはちょっとおかしい気がする。

 消耗品アイテムや降参、リングアウトは分かるが、能動発動型のスキル、魔法、能力禁止ってのは魔法使い系にとっては致命的なルールだ。

 魔法使い系クラスはタフネスや頑健さには全く恩恵を与えない。

 俺が軽戦士系を選んでいるのも、速度と手数で防御力の無さを補うためだ。

 軽戦士系クラスを積んだ俺と純粋な魔法使い系のエリシアさんではリングの中という制限された場所で正面切って殴り合いしたら、俺が普通に勝つのは目に見えてる。

 ・・・まさか八百長っぽくあっけなく負けて、下手な持ち上げ方するのか・・・?

 いや、あの顔はなーんか企んでたし、何かの作戦か?

 ・・・念のため、試合が始まる前にできる事だけはする。


「≪魔法看破≫」

 魔法効果を見抜く魔法でリング内を観察するが、見たところリング内に変な仕掛けは無さそうだ。

 四方の柱は魔法で作ったらしいが、それ以上の効果は無いな。

 平坦な芝生だから踏み込みや足回りはバッチリだ。滑る事も無い。


「うし。≪軽功の構え(アクロバットスタンス)≫≪刃の冴え(テクニカルエッジ)≫≪浮遊(フロート)≫≪羽毛の足取り(フェザーステップ)≫≪風属性付与(エンチャントゲイル)≫≪衣服神鉄化(オリハルコンクロス)≫≪武装状態知覚(センスアーマメント)≫≪気配知覚(ライフセンス)≫≪戦乙女の声援(ヴァルキリーエール)≫≪心肺強化(ストロングハート)≫≪筋繊維保護(マッスルプロテクター)≫≪絶好調(ベストコンディション)≫≪台風の目(アイムストーム)≫≪風の衣(ゲイルコート)≫≪武器攻撃致命化(アンエリングアームズ)≫≪超加速(オーバーヘイスト)≫」


 念のため、俺の使える強化系統のスキルと魔法を全部予め使っておく。

 エリシアさんが制限する時言ったのは「()()()()()()」ってだけで、予め使うなとは言ってなかった。

 つまり、始まる前なら、ルールの外。念のため、審判のマーシャさんの方見たら・・・何も言わなかった。

 さぁ向こうは何の強化を積んでくる・・・?


「時間ね。赤コーナー!アキヒト!」

 リングに上がったマーシャさんの呼びかけで、俺もリングに入る・・・エリシアさんはどこだ?姿が見えねぇ・・・透明化の呪文か?


「青コーナー!エリシア!」

 呼びかけと同時に、地響き・・・いや、コレ足音だな。


 ズン。ズン。と重量のある足音と共に・・・デカイ樹木クリーチャー。

 アレは確か・・・『樹霊王(エント)』か!

 確かにあの人なら召喚できると思ったけどよ!!・・・なんかデカすぎね!?

 強化突っ込んだヤツか!ゲームならLv90後半くらいってトコか?

 本人はどこだ?そのまま樹霊王はリングインしたけどよ・・・


「エリシアさん本人はどこ行った・・・?」

『ここに居ますよ』


 返事が返って来たのは意外。目の前の樹霊王・・・いや。

「≪憑依召喚≫かよ・・・」

『あ、知ってたら話が早いですね。つまり、そう言うことです』


 俺が予めスキルと魔法で自己強化したのと同じように、この人・・・()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んかよ!


 人の事言えねえが・・・コレは本人じゃなくて樹霊王が強いヤツじゃねーか!!

 自分で戦うつもりねーな!?絶対!!


【エリシア視点】


 さて、予想通りアキヒト君はスキルと魔法で自己強化してたようなので、私も同じようなズルをさせてもらった。


≪憑依召喚≫スキル。

 精霊系や天使系、悪魔系クリーチャー等を自分自身に憑依させ、その能力を一時的に召喚主が使用できるスキル。

 憑依させたクリーチャーの能力値や能力、スキルがそのまま召喚主に加算されるので、『召喚師(サモナー)』のような単体の戦闘力が劣る他力本願系クラスはコレを導入することで、単騎戦闘が得意な大型クリーチャーの能力が使用できるのだ!


 ちなみにこの樹霊王、確認したらやはり王都攻略戦の時と同一個体だった。

 エルドラド金貨と≪植物巨大化≫等で限界まで強化した樹霊王なら、戦闘特化型相手でも簡単には負けない・・・と思う。

 ゲームの時と同様に外見まで樹霊王の姿になったのはちょっと予想外だが、まぁ『デカイ』『硬い』『重い』は強さと思っておく


「では、お互い準備は良いわね?」

「体格差がエグイんだけど・・・マジでコレでやるのかよ」


 確かアキヒト君が身長170cmちょっとくらいか。

 で、私は今は身長30mくらい。

 体格差が・・・大体17倍くらいかな?


「待ったなし1本勝負よ。はい始め!」

「マジかよーッ!!」


 私の全力ストンピングが地面を揺らし、決闘が始まった。

心肺強化ストロングハート

種別:強化/スキル

制限:戦士/軽戦士系Lv5以上

属性:強化

射程:自身

生命力を使用し、心肺機能を向上させる事でスタミナ消費を抑制し、スタミナ回復速度を向上させるスキル。

これにより長時間の全力行動、及び無呼吸行動が可能となり、連続攻撃や強力な攻撃を連発可能となる。

戦士系ならば早期習得を目指すべき、基本的な強化スキル

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― 新着の感想 ―
まあでもこれに良い勝負なら子供達から馬鹿にされることもないから問題ないか…
木だけど草生えるわ。 なんというか、争いは同レベル云々だな、この二人。
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