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第6話

目の前に立つ真菌の女王、私と目が合うとドレスの裾を摘みながら、優雅に頭を下げた。


「召喚に応じ、参上しました」


喋った!ゲームだとボイスなんて実装されてないけど、こんな声してたんだ。

声が超綺麗。外見も髪色が特徴的なのを無視すればかなり良い。

見た感じの雰囲気的には従順・・・かな?

とりあえず、簡単な指示から試してみよう。

・・・いや、その前に聞いておこう。


「名前を聞いて良い?」

真菌の女王(クイーンマイコニド)ですが」

「いや、種族名じゃなくて個体名」

「ありません」


即答。

召喚されたクリーチャーだし、名前が無いのが普通なんだろうか?

うーん。名前が無いのも不便だし、以後同種を召喚した時に呼び分けするにも名前を付けるべきかな。


「名前が無いと困るし、名前を付けても良い?何か希望とかあるなら聞くけど」

「特にはありません」


特に無い。か・・・とりあえず見た目の印象かな。

色合い的に赤と白。 安直で良いか。


「アカネ でどう?」

「アカネですか。アカネ・・・それが私の名前・・・」


「もっと捻った名前にした方がよかった?」

「いえ!滅相もございません! すごく気に入りました!」


そう? まぁ良いか


「早速だけど、手を貸してくれる? この林を整地して屋敷のスペースと畑を置くから」

「承りました。 近衛」

アカネが軽く手を叩くと、地面から槍を持った革鎧の兵士が数人、地面から生えてきた。


「この地を均し、我らの拠点を築きます。 励みなさい」


アカネの言葉を聞いた真菌の兵士達は『はっ』と短く返事をした後、地面に放置していた材木を運んだり、草を刈ったりと作業を始めた。


とりあえずある程度の広さのスペースを収穫の鎌で刈り取って・・・。

あ、そういえば召喚の制限時間いつまでだろ・・・。


「アカネ、私の召喚で留まれる時間はどれくらいある?」

「え? この地にある真菌類を触媒に顕現しましたので、私の命が尽きるまで・・・でしょうか?」


なにそれ知らない。

ゲームだと5分程度だったけど、異世界だと召喚魔法も仕様が変わるのかな・・・。

まぁいいや、細かい事気にしてる余裕は拠点を作ってから。


私は宿でしばらく生活できるから、先にアカネと真菌の兵士達の拠点からかな。

あ、私の拠点は地下室も欲しいし、地下への掘削もお願いしておこう。


「≪中位庭園作成≫っと」


とりあえず木造でコスト抑えるなら風呂無しトイレ共同の宿舎って感じになるかな。

石材も無いし、高度な建築物は作れないから資金と資源が集まったら後で解体して建て直せば良いか。


「我々の拠点ですか」

「直訴申し上げます!」


アカネとの会話中に真菌の兵士の一人が割って入った。

「何事ですか」

「北方の偵察から報告。ゴブリンの群れ。数は10!」


偵察なんていつの間に出したんだ。

まぁいいや、それよりゴブリンか。

「分かりました。迎撃準備を」

アカネの指示と同じくして村の方から鐘の乱打音。

襲撃の知らせ・・・かな。


「女王。 編成完了しております」

はっや。 振り向けば真菌の兵士達は槍を持って整列していた。


「よろしい。 近衛よ、ゴブリンを撃滅しなさい」

『ははっ!』


真菌の兵士は隊列そのままに行進し、北の方向へ。

・・・あ。 村人にマイコニドの事話してない!

敵と間違われても困るし、説明に行かないと!


慌てて真菌の兵士達を追いかけ、私も村の北側へ。



        ◆


村の北側、昨日の迎撃地点でゴブリンの群れと石の塀を挟んで村人がにらみ合い。

良かった、間に合ったか。


「エリシア、来てくれたか」

そう声を掛けてくれたのはカーク。

「カーク、後から軍団が来るけど敵じゃないわ。 私が召喚した兵士よ」

「兵士? どこの兵士が・・・」

カークの言葉の途中で揃った足音が聞こえてきた。

真菌の兵士達の行進。


振り返って見れば・・・アレ、なんか数増えてない?

さっき見た時より行進の列が伸びてる!


「主様。 念のため追加分を召喚しておきました」

ゆったりと行進の列から外れてアカネがこっちに来た。


真菌の兵士(マイコニドトルーパー) 総数20。 追加召喚として真菌の魔術師(マイコニドソーサラー)5。真菌の弓兵(マイコニドアーチャー)10。真菌の神官(マイコニドクレリック)5。 総数40名、参戦いたします」


いや多い多い。多すぎる。

兵士召喚までは知ってたけど魔術師と弓兵と神官って確かプレイヤー指示で発動する招集系魔法のはず! 独断で使用したのか。


相手ゴブリン10体でこっちは魔女(わたし)指揮官(アカネ)が1人ずつ、兵士20人と魔術師5人、弓兵10人に神官5人にプラス村人が数名。

確か真菌の女王が召喚するクリーチャーのレベルは兵士で60レベルくらい。

昨日のゴブリン達のレベルは・・・弱すぎてイマイチ分からないが、最高でも10レベル超えてないと思う。

そう考えれば、コレは過剰戦力すぎる・・・。


ほら、ゴブリンもいきなり本格的な兵士群が槍衾揃えてるの見て完全にビビってるし。

「魔術師、炸裂火球(ファイヤーボール)を。 目標、敵前衛!」

アカネさん容赦無しか。


アカネの指示を受け、真菌の魔術師達が一斉に詠唱し、炸裂火球をゴブリン達に撃ち込む。

ドカンドカンと激しい爆破音が5回ほど起こり・・・うわ、ゴブリン達が半壊してるよ。


ゴブリン達は勝ち目が無いと早々に見切りをつけて反転。丘に逃げ始める。

「追撃を。 兵士達、突撃!」

アカネの号令と共に、雄叫びを上げて真菌の兵士達がゴブリンの群れを追撃する。

一方的過ぎて草も生えない。


残った数体のゴブリンも兵士達に追い付かれて、あっという間の蹂躙劇だった。

≪召喚:真菌の女王≫

種別:召喚魔法

制限:庭師の魔女LV12以上

属性:召喚

真菌の女王を召喚する召喚魔法。

真菌の女王は配下であるマイコニド系クリーチャーを召喚する召喚魔法と毒や麻痺、混乱等の状態異常を引き起こす弱体魔法を使用できる。

召喚するためには前提として≪植物召喚≫の魔法を上級まで習得する必要がある。

真菌の女王は弱体化魔法さえ対策すればクリーチャーを生み出すだけで火力自体は低め。

基本的に盾となるクリーチャーを大量展開させるために召喚される。

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― 新着の感想 ―
強すぎて村人ドン引きなのでは?家も兵士も自給するとなると実質村が報酬に出したのってほとんど価値のない土地だけじゃん。
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